━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/08/12 消費増税の是非判定論議はこれからが本番だ 第314号 ──────────────────────────────────── 消費増税法案の参議院での可決に前後して、日本の債券市場で価格が若干乱高 下した。 これを、政府とマスメディアが、 「消費増税法案の廃案を警戒して金利上昇のリスクが表面化した」 とアピールした。 日本経済新聞は次のように報じた。 「消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が10日に成立する見通 しとなったことで、財政再建が遅れるとの市場の懸念は和らいだ。9日の債券 市場では、朝方に指標となる新発10年物国債利回りが一時前日比0.03%低い0.7 65%まで低下した。ただ、その後は日経平均株価が上げ幅を広げたことに伴い 金利は上昇に転じ、0.8%台で引けた。 今後の衆院解散・総選挙の動向など政治の不透明感は残るものの、一体改革法 案が早期成立する見通しが立たことで、債券市場では財政悪化により金利が急 騰する懸念はひとまず和らいだと受け止められている。」 (2012/8/9/ 19:42) また、朝日新聞は8月11日付朝刊社説で次の記述を示した。 「衆院解散の時期をめぐる駆け引きのなかで、一時は関連法の成立が危ぶまれ た。そうなれば国際社会や市場の信頼を損ね、国民に多大なリスクをもたらす ところだった。」 これらの報道と平仄(ひょうそく)を合わせるかのように、野田佳彦氏は8月 10日の社会保障・税一体改革特別委員会の締め括り総括質疑のなかで次のよ うに発言した。 「欧州のいまの状態を見ても、財政に対する信任が薄らいだり、なくなったり したときに、それが経済不安や金融不安につながってゆくという状況が生まれ ている。 ひとたび財政に対する信認を失ったときには、そのあとさまざまな努力をする、 例えば、年金等の給付をカットするとか、大変厳しい行政改革をやるとか、 等々の国民生活に相当厳しい状況を生むような状況をやらざるをえなくなって くるというのが現状だと思う。 日本については、たしかにいま、国債の金利については、低位で安定をしてい… … …(記事全文4,486文字)
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植草一秀(政治経済学者)