━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/12/21 東電「実質国有化」という名の「公的資金による救済」 第82号 ──────────────────────────────────── 読売新聞が次のように伝えている。 「政府は原子力損害賠償支援機構を通じて東京電力の3分の2以上の株式を取 得し、東電を事実上国有化する方向で調整に入った。 支援機構が1兆円を出資し、主力取引行にも総額1兆円の追加融資を求め、 官民で総額2兆円の資金支援をする。福島第一原子力発電所の廃炉費用などが かさみ、東電が債務超過に陥ることを防ぎ、リストラを強力に進める。 関係者によると、支援機構は20日から、主力取引銀行に対して支援策を提 示し始めた。年明けから本格的な交渉に入り、来年3月のとりまとめを目指す。 取得するのは東電の種類株などになる見通し。既存の株主が持つ普通株と区 別することで、将来、機構の保有分を売却する仕組みが作りやすくなる。」 これまでも伝えてきたが、 「実質国有化」 という措置は、正しい日本語で表現すると 「公的資金による救済」 である。 「実質国有化」 と 「一時国有化」 とは似て非なるものである。 2002年9月30日の内閣改造で金融相に就任した竹中平蔵氏は 「「大きすぎるからつぶせない」との方針をとらない」 と発言した。 他方、小泉純一郎首相は、 「退出すべき企業は市場から退出させる」 との方針を明示していた。 竹中金融行政は木村剛氏の間違った指南を受けて、金融機関を自己資本不足 に陥らせるための制度変更を画策した。しかし、試合の途中で審判が勝手に ルールを変更するような措置は同意が得られなかった。 それでも、標的に定めた金融機関を自己資本不足に陥れるために、小泉竹中 金融行政は恣意的に金融行政を運用して、標的に選んだりそな銀行を自己資本… … …(記事全文4,932文字)
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植草一秀(政治経済学者)