━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/12/16 政府支出の無駄を排除するための三大施策 第77号 ──────────────────────────────────── 日本経済はいま、本格浮上の千載一遇のチャンスに立っている。3.11の大震 災、原発事故は日本に修復不能な大きな傷を残したが、震災の復旧・復興事業 を実行することは政府の責務であり、長い時間はかかったが、漸く大型復興政 策が動き始める局面を迎えた。 2011年度は補正予算がなんと4度も編成される。この間に事情が変化し たわけではない。1度で済む補正予算編成が4度にも分散されていることに、 政策実行力の欠落が如実に示されている。 必要な対策なら、早期立案・早期執行が鉄則であったはずだ。 ところが、震災復旧・復興政策の策定は遅れに遅れた。 最大の理由は、増税を打ち出すことにあった。財務省が、増税が本決まりに なるまでは政府支出を追加することを拒絶したのだ。 財務省が諸悪の根源である。この諸悪の根源である財務省をコントロールで きないこところに、菅内閣、野田内閣の能力の低さが明確に示されている。 本来は、内閣が財務省をコントロールするべきだが、菅内閣も野田内閣も、 逆に財務省によってコントロールされている。これを本末転倒と言う。 ほとんどの政治家は財務省をコントロールできない。東大法学部を卒業した 偏差値秀才が10人並ぶと、委縮してしまうのだ。 本来、委縮する必要のない相手に、委縮してしまう。委縮する政治家は大き な勘違いをしている。 財務官僚は、単にペーパーテストに少しだけ強いというだけである。ペー パーテストに強い人間が、洞察力、直感力、大局観、判断力、バランス力に秀 でているのかと言えば、そうではない。 経済政策について言えば、彼らのほとんどは経済学の知識、見識、学識を持 たない。財務省エリートの大半は法律職および行政職の職員であり、経済問題 については純粋な素人である。この素人が経済政策を仕切ろうとするから、何 度でも同じ間違いを繰り返す。 たかだか偏差値が少し高いだけで、それだけのものだ。財務官僚をのさばら せておくことが、さまざまな不幸を生み出す原因になっている。… … …(記事全文5,786文字)
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植草一秀(政治経済学者)