━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/12/17 小沢一郎氏全面無罪を明らかにした前田元検事証言 第78号 ──────────────────────────────────── 小沢一郎民主党元代表に対する政治謀略である裁判が行われており、12月 16日には第10回公判が開かれた。 第10回公判には、大阪地検特捜部の証拠改竄(かいざん)事件で実刑判決 が確定した服役中の前田恒彦元検事が出廷し、証人尋問が行われた。 前田元検事は、陸山会事件で大久保隆規氏の聴取を担当し、虚偽記載を認め る調書を作成したが、調書の任意性が問題とされて、調書は証拠採用されなか った。 小沢氏の共謀共同正犯の罪を問う今回の裁判でも、この調書が証拠採用され るのかどうかはひとつの焦点とされている。 一連の事件をオランダの政治学者カレル・ヴァン・ウォルフレン教授は著書 『誰が小沢一郎を殺すのか』で、小沢元代表に対する「人物破壊工作」である と断定している。 「人物破壊工作」は英語のCharacter Assassinationの日本語訳で、政治的な敵 対者を社会的に葬るために行われる謀略のことを指す。欧米では珍しい政治攻 撃ではないという。小沢氏に対する「人物破壊工作」は類例を見ない激しいも のであるとウォルフレン教授は指摘している。 私が巻き込まれた事件、事案もまさに「人物破壊工作」の範疇に入るもので あると理解している。 小沢氏に対する一連の謀略が表面化したのは2009年3月3日である。西 松建設関連の政治団体からの献金の収支報告書への記載を巡る騒動である。そ の後、事態は2010年1月15日の石川知裕衆議院議員等への逮捕問題(一 一五事変)に発展した。こちらは、2004年10月に代金決済があった世田 谷不動産の売買にかかる収支報告書への記載を巡る騒動である。 前者が「西松事件」と呼ばれ、後者が「陸山会事件」と呼ばれている。そし て、「陸山会事件」に関連して、小沢一郎元代表が共謀共同正犯であるとの訴 えがあったが、検察が不起訴にした。これに対して、検察審査会が二度、起訴 相当の議決を行い、現在、その裁判が行われている。 陸山会事件では石川知裕衆議院議員などに有罪判決が示されたために、一連 の事件が小沢氏周辺が「悪」であるとのイメージを刷り込ませる結果を招いて いるが、不当で不正な権力の暴走である。… … …(記事全文6,149文字)
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植草一秀(政治経済学者)