━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/11/04 本当は財政危機に直面していない日本 第35号 ──────────────────────────────────── 拙著『日本の再生』が第4刷に入っている。増刷が追い付かず、大都市大手 書店以外の書店ではほとんど在庫がなく、また、アマゾンでも在庫切れが続き、 皆様に大変ご迷惑をお掛けしていることを深くお詫び申し上げます。楽天ブッ クショップでは在庫が確保されているので、ネットからお求めの場合には、楽 天ブックショップをご利用下さいますようご案内申し上げます。 日本が直面する最重要経済問題に、東電処理、増税、TPPの三つの問題が ある。拙著では、この三つの問題に対する望ましい対応策を記述している。 奇をてらうものではまったくない。オーソドックスに、基本に忠実にものを 考えれば、おのずから結論は導かれるものである。 東電問題では、法治国家としての日本の矜持が問われている。 いわゆる原子力村と呼ばれる産官学癒着の巨大構造が明らかにされたが、原 発事故発生後に、この基本構造にメスが入れられたであろうか。 枝野幸男経産相は、自分の在任中は天下りを認めないとの趣旨の発言を示し たが、自分の任期中の天下りの対応をどうするかという次元の問題ではない。 制度としての日本の原子力村、原子力村の根本構造そのものが問われているの に、それを自分の任期中の行政運営の問題にすり替えるところに、この人物の いかがわしさが示されている。 九州電力は原発事故が発生したあと、佐賀県玄海原発の再稼働に関連して実 施した公開討論会で、会社ぐるみの偽装工作を実行した。この偽装工作を引き 起こす発端を作ったのは古川康佐賀県知事である疑いが濃厚である。 九州電力は問題発生に対応して第三者委員会を設置し、第三者委員会は報告 書をまとめた。ところが、報告書が九州電力の責任を厳しく糾弾するとともに、 古川知事発言が偽装工作の発端となったとの事実を認定し、九州電力にとって 厳しい内容になったことから、九州電力はこの報告書の内容を無視して国に報 告した。 九州電力が事実に即して国に報告すべきことは当然であるし、一連の不祥事 の重大な責任を明らかにするために、松尾新吾会長および眞部利應社長は直ち に辞任するべきである。 ところが、九州電力を実質的に支配していると見られる松尾新吾会長は、問 題に対する責任も明らかにせず、会長職に居座る姿勢を強めている。… … …(記事全文5,051文字)
購読するとすべてのコメントが読み放題!
購読申込はこちら
購読中の方は、こちらからログイン