━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 板垣英憲(いたがきえいけん)情報局 ~マスコミに出ない政治経済の裏話~ 2022年8月21日 ◆─── - - - - - - - - ───◆ 世界の政治・軍事・経済・金融を支配するパワーエリートの動きやその底流で 行われている様々な仕掛けなどを中心に、重要情報(特ダネ)をキャッチして速 報する。 政治評論家 板垣英憲 ◆─── - - - - - - - - ───◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『ロックフェラーに翻弄される日本』(2007年11月20日刊) 第6章 小泉改革と市場原理主義者の竹中財政 教科書通りに展開されたM&A ─────────────────────────────────── 水泡に帰したとはいえ、ライブドア元社長の堀江貴文の電撃的な「ニッポン放送株買い占め」は株式市場を革命的に大転換させ、まさに「そのとき歴史が動いた」と言えるほど、後世に語り継がれる出来事であった。 始まりは突然だった。2005年2月8日、ライブドアがニッポン放送の発行済み株式の35パーセントを取得したと発表したのである。堀江は、M&Aを狙ってさらにニッポン放送株を買い増し、事実上の親会社であるフジテレビとの全面戦争に突入した。 堀江の背後で資金提供を行っているのは誰か。真っ先に注目されたのは、堀江と盟友関係にあると言われてきたM&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)社長の村上世彰だった。村上はニッポン放送株18パーセント超を握り、キャスティングボードとコントロール・プレミアムを掌握、さらにフジテレビに対してM&A攻勢をかける勢いを見せた。 堀江・村上連合軍の動きは、欧米の本市場では日常茶飯事の出来事である。だが、「持ち合い」による「安定株政策」に慣れ切り、「護送団方式」を続けてきた日本の経営者や投資家、それを政治行政権力で守ってきた旧体制(アンシャン・レジーム)勢力にとっては、まさにその立場を根底から揺さぶられる出来事であった。 この先駆けは、実はソフトバンクの孫正義社長である。孫は1996年、オーストラリアのメディア王、ルパート・マードック会長と組んでテレビ朝日株を大量に買収しようとした。だが、親会社の朝日新聞社の猛反発にあって、あえなく挫折。その後、アメリカの若い株式市場である「ナスダック」の日本版「ナスダック・ジャパン」の設立を目論んだが、東京株式市場ではまたも抵抗されて、大阪でなんとか実現(現在の「ヘラクレス」)。ただし、その革命的な行動が、証券業界のみならず旧大蔵省証券局などに衝撃を与えたのは間違いない。東京株式市場も結局は、ナスダック・ジャパンに対抗する形で「マザーズ」を創設せざるを得なかった。のちにライブドアも上場している。 堀江と村上は、現行の商法・証券取引法で許されたM&Aを、まさに教科書通りに展開した。それは、多くの日本人には非常識的でも、国際社会では極めて常識的なビジネス手法であった。一見過激に映った彼らの行動は、孫正義の先駆的な挑戦の延長線上にあり、日本の株式市場の歴史に刻まれる金字塔のような出来事とも言えた。… … …(記事全文1,800文字)
板垣英憲(いたがきえいけん)情報局 ~マスコミに出ない政治経済の裏話~
板垣英憲(政治評論家)