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板垣英憲(いたがきえいけん)情報局 ~マスコミに出ない政治経済の裏話~

板垣英憲(政治評論家)

板垣英憲

在宅介護・医療の限界か。在宅医療の現場では、有資格のソーシャルワーカーの配置義務はなく無資格の医療相談員が担い、セカンドオピニオンは受けにくく、インフォームド・コンセントも希薄になりがち

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 板垣英憲(いたがきえいけん)情報局 ~マスコミに出ない政治経済の裏話~   2022年1月31日 ◆─── - - -                    - - - - - ───◆ 世界の政治・軍事・経済・金融を支配するパワーエリートの動きやその底流で 行われている様々な仕掛けなどを中心に、重要情報(特ダネ)をキャッチして速 報する。                          政治評論家 板垣英憲 ◆─── - - -                    - - - - - ───◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 在宅介護・医療の限界か。在宅医療の現場では、有資格のソーシャルワーカーの配置義務はなく無資格の医療相談員が担い、セカンドオピニオンは受けにくく、インフォームド・コンセントも希薄になりがち ─────────────────────────────────── ◆〔特別情報1〕  かれこれ22年前の拙著「愛する者へ遺した最期の言葉」を執筆するにあたって、故人の臨終までのいきさつについて20人ほど個々にお話しを伺わせてもらったことがあった。故人を偲び、生前の元気だった頃の思い出話から故人を思い浮かべつつ、最期を迎えるまでの様子を教えていただいた。人は死の間際、どんな言葉を家族に残していくものなのか、愛する人へ残す最期の言葉に、その人の人となりと人生が集約されているのではないか、そんな思いで言葉を集めていった。  ところで、臨終までの様子を伺うなかで、生前に受けた医療に対して、少なからずの不満や不信感を口にされている人が、案外多かったことが印象に残っていた。葬儀も終えてある程度の時間が経っていたこともあり、激高するような語り口ではなかったものの、淡々と語られる言葉に無念な思いを滲ませる人が多かったことを思い出す。  埼玉県ふじみの市で起きた「立てこもり事件」の渡辺宏容疑者は、訪問医療で母親の主治医であった医師に対し、治療方針を巡ってトラブルになっていたことが報道されている。地域医療に尽力し多くの患者や家族に信頼され「地域医療の柱」ともいわれるほどの医師の最期が、痛ましくあまりに理不尽な事件の展開に、強い憤りを覚える人が多い。先にあげた拙著で聞いた遺族の不満と同列に語るものではないが、事件を防ぐ手立てはなかったのかとやるせない思いが拭いきれない。患者や家族との間で、意思の疎通がスムーズにいかないことは、決して珍しいことではない。渡辺容疑者は、別の医療機関や介護事業所でトラブルを繰り返し行き場を失っていたところ、最後に手を差し伸べたのが鈴木純一医師だったという。NHKの報道によると、渡辺宏容疑者は「栄養をチューブで送る『胃ろう』を在宅で受けられないことに強い不満を抱き、医師会に何度も苦情を寄せていたことが捜査関係者への取材で分かりました。」ともいわれ、さらに別の報道では、鈴木医師が入院を勧めるも、渡辺容疑者はそれを拒み、在宅医療と介護を続けるなか、母親は死亡してしまい、無惨な事件に発展してしまった。  筆者のアシスタントは、2015年から高齢の両親を地元神戸から浦和の自宅近くに呼び寄せて介護をしてきている。昨年亡くなった父親は、2019年夏に誤嚥性肺炎に罹ってからは、まさに「胃ろう」となり、2020年春に再び誤嚥性肺炎に罹ってからは「胃ろう」から「中心静脈栄養(IVH)」となり、2021年4月に他界している。在宅医療で最期を看取るつもりだったようだが、介護者を休ませるための「レスパイト入院」で、半ばついでにつくっておきましょうと勧められた「膀胱瘻」の手術で出血が止まらず、その二日後の夜明け前に心配停止となって帰らぬ人となった。浦和に呼び寄せる前には神戸の某総合病院で、前立腺癌と膀胱癌の治療を受けており、その治療の過程で尿道狭窄となり、尿道カテーテル留置状態となっていた。いずれの癌も再発はなく状態は安定していたのだが、浦和に呼び寄せて5年目の夏に誤嚥性肺炎を罹患してからは、ほぼ寝たきりの状態が続き、背中にできた褥瘡が大きくなり、膝は曲がった状態で硬直してしまっていた。訪問診療も訪問看護も訪問介護も全て受けていたけれども、衰弱を止めることは出来なかった。膝の硬直により、やがて尿道カテーテルの交換が難しくなるだろうとのことでの「膀胱瘻」をつくる手術を受けたが、その手術が命取りとなった。ただ、死亡した翌日に手渡された死亡診断書には「前立腺癌、認知症」と書かれていたことは「なぜ?」という思いだったという。認知機能の低下はあったけれども、認知症の診断は受けていないし、投薬もなかった。前立腺癌は5年間再発なく検査の数値も常によく安定していた。  筆者アシスタントは亡くなった当時のことをこう語る「とにかく父の臨終については、一抹の不満や疑問、不信もあったけれども、絶対に怒らないと心に言い聞かせて父を見送った」という。彼女は、拙著「愛する者へ遺した最期の言葉」の取材を経験している。なぜ取材を受けてくれた人の多くが、医療に対して不満の言葉を発していたのか、その気持ちを実感したともいう。しかし、介護期間中に手厚いサービスを受けたことも事実。だからこそ、クレームは言わないと心に難く言い聞かせて、喪に服したということだ。 「胃ろう」という延命治療については、賛否がある。今回の「立てこもり事件」で医師が勧めなかったように、近年は批判的な意見のほうが多いと聞く。筆者アシスタントも、「もしかしたら、あのとき、延命治療をせずに枯れるように逝かせてあげるべきだっただろうかという思いもあるにはある」と言いつつ、しかし「延命してくれたことで、最期を迎える心の準備が少しずつ出来た。父親は、日を追うごとに言葉数は少なくなっていったけれども、家族の交流としては、このうえない至福の時間を持つことが出来た。悔いはなく、父の死を受け入れられた」という。
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