□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2017年3月12日第202号 ■ ============================================================= お言葉で訴えた天皇陛下の気持ちを無視するこの国の政治 ============================================================= 天皇退位に関する法改正は、どうやら特例法で与野党が集約されることになりそうだ。 最近の報道はそうなると書き始めた。 しかし、こうなる事ははじめから分かっりきっていた。 生前退位を認めるには、筋から言えば皇室典範の改正だ。 しかし、皇室典範改正は、戦後間もない頃に一大議論があった大事業だ。 それができなかったから、皇室典範だけが明治時代の法体系を改正しないまま戦後に引き継がれた。 その皇室典範を改正するなどということは、一つや二つの内閣ではとてもできるものではない。 だからといって天皇の退位の意向をこのまま放置することは許されない。 国民の8割が退位の意向を示された天皇に同情的だからだ。 だからどのような政権であれ、引き延ばしすることは許されない。 とりあえず一代限りの特例法で対応するしかないのだ。 それにもかかわらず野党は安倍自民党に対する政局がらみで。こぞって皇室典範にこだわった。 しかし、野党と言っても、共産党は天皇制を否定する立場だ。 民進党は、安保政策と同様に、その国家観もまたバラバラだ。 野党には、皇室典範改正に最後までこだわる強い理由などどこにもないのだ。 だから、特例法か皇室典範改正かという問題に野党共闘が最後までこだわるはずがなかった。 おまけに、皇室典範にこだわって天皇陛下がいつまでたっても退位でななければ、天皇退位に同情的な8割の国民の支持を失う事になる。 野党が最後に譲歩することはわかりきっていたのだ。 そして、野党が譲歩する見返りに特例法の附則に、なんらかの形で野党の立場を反映させるとオチまでついている。 天皇陛下があのお言葉で本当に訴えたかった事は、象徴天皇としての天皇陛下の変わらぬ公務は何か、それは国民に寄り添うことと、平和憲法を守るということではないか、その事を国民が考え、その国民の意思を政治が受け止めて決めてくれ、という事だったのだ。 それを議論して特例法のどこかに明記することこそが与野党の議論の争点であるべきなのだ。 この問題は、お言葉が発せられた昨年の8月には、メディアも書いたのに、いまではまったく語られなくなった。 そんな中で発行され衝撃本が、五味洋治東京新聞編集委員の「生前退位をめぐる安倍首相の策謀」(宝島社新書)だ。 その本があまりにもタイムリーで、核心をついているからこそ、その本はまったく話題に上らず、無視され、封印されている。 この国の政治は、与党も野党も、天皇陛下のお言葉の核心部分を見て見ぬふりをしている。 このままでは、天皇陛下があのお言葉で示された覚悟が完全に握り潰される事になる。 天皇陛下はさぞかし心残りだろう。無念だろう。 新党憲法9条は、天皇陛下のお言葉に正面から応える政党として、憲法9条を国是とすることを公約にする政党である。 天皇陛下が退位される前に必ず実現しなければいけない政党である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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