□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2015年10月28日第879号 ■ ============================================================ 中国も米国も、やれるものならやってみろ ============================================================= 米国が中国領海内に軍艦を通過させた。 これに対して中国が反発した。 この事を日本のメディアは大騒ぎして報じている。 しかしどこか醒めている。 米中が軍事的に衝突すれば大変な事になるからだ。 そんなことが起こるはずはない、起こってほしくないと思っているからだ。 果たして米中の軍事衝突は起きるのか。 それはもちろん誰にもわからない。 しかし、そんな事を心配するよりも、米国も中国も、軍事的衝突ができるものならやってみろ、そんなことをすればどちらも同罪だ、国際法を無視した平和の破壊者に成り下がる、何よりも共倒れになる、世界を不幸に巻き込む、そんな愚をおかすことができるのか、やれるものならやってみろ、そう突き放せばいいのだ。 二つの民主主義国家の間では戦争は起こらない。 これは米国の議員が語った言葉らしい。 けだし至言だ。 戦争が起これば国民にとって何一ついい事は起こらない。 だから国民の声がそのまま政策に反映できるようなシステムに成熟している民主国家では、世論が戦争を許さない。 米国は民主主義国のチャンピオンだとみずから認めている国だ。 そのような国の世論が中国との戦争を是認するはずがない。 その点、中国の民主主義は疑わしい。 しかし、いまの中国もまた世論の反発を恐れている国となった。 中国国民の多くは戦争どころではない。 富めるものは米国との戦争など望まない。 そうでない国民は少しでも豊かになりたい。 そんな中国国民もまた米国との戦争を望むはずがない。 これを要するに、オバマも習近平も、これ以上事態をエスカレートして戦争する覚悟はない。 しかし、お互いに軍事的譲歩は出来ない。 かくして緊張が高まり、高まったところで、手打ちが行われる。 壮大な茶番だ。 しかし、これを茶番だと突き放す事ができるのは、憲法9条を持つ日本だけだ。 その憲法9条を否定する安倍政権や、それに追従する腰砕け連中やメディアには、そんな真似は出来ない。 だから大騒ぎするしかない。 大騒ぎするわりには、安倍政権もメディアもどこか腰が引けている。 「平和の海へ日米連携せよ」と社説に書いたのは産経だけだ。 朝日と毎日は米中双方に自制を求める社説を掲げるしかない。 その他の読売、東京、日経に至っては、こんなに重要な問題について社説で取り上げることすらしない。 どう書いたらいいかわからないのだ。 南シナ海をめぐる米中衝突の危機が教えてくれた事。 それは憲法9条の強さと正統性だ。 もしこれまでの日本が憲法9条を最優先する国であったなら、どの国よりも有利で強い立場に立てたはずだ。 日中両国に正しく助言を出来たはずだ。 いまの日本は、うろたえるばかりでなす術はない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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