□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2015年9月30日第801号 ■ ============================================================= 大筋合意というの名の対米全面譲歩で終わるTPP ============================================================== おおかみ少年よろしく、今度こそ最後のTPP交渉だという。 どうなるのか。 答えは大筋合意である。 もはやTPPの完全合意などあり得ない。 事実上のTPP交渉の失敗だ。 しかし失敗で終わるわけにはいかない。 なにしろこれまでに莫大な年月とエネルギーと予算をかけて来たからだ。 だから大筋合意でひとまず終わらせ、あとは継続交渉だ、となる。 それでは大筋合意とは何か。 それは対米二国間交渉の末の日本の譲歩である。 きのう9月29日の産経新聞が驚くべきスクープ記事を書いていた。 すなわち、TPP交渉に関する日米協議では、日本が輸入米にかける関税を維持するかわりに、米国産米についてはミニマムアクセスの特別枠を新設するという、米国だけに特別な優遇措置を導入する方向で、最終調整しているという。 こんな合意があるだろうか。 日本がコメの関税維持の代わりウルグアイ・ラウンドで約束している輸入枠、いわゆるミニマムアクセスは、米国だけではなく、その他のコメの輸出国である豪州、タイ、中国なども含まれる。 ところが、TPP交渉では米国だけに特別の輸入枠を拡大し、譲歩するという。 少なくとも産経新聞のスクープ記事はそう書いている。 こんなTPP大筋合意などあり得るのか、許されるのか。 おそらく他の国々もまた、大筋合意の下に自国の国益を満たす様々な取引をすることになるに違いない。 これはもはや多国間協定とは言えない。 二国間協定の寄せ集めだ。 厳密に言えば、いや厳密に言わなくても、WTO違反だ。 まことに出来の悪いTPP協定になる。 なぜこんな事になってしまったのか。 すべては米国のごり押しのなせるわざである。 対米委従属の日本だけが突出して米国との二国間協議を重ね、その他の国ではあり得ない対米譲歩までして終わる。 しかし、ここからが私の言いたいところだ。 安倍政権でなくても、民主党政権が続いていても、同じような経緯を辿り、同じような大筋合意になっていたに違いない。 なにしろ、TPPは重要だと言って積極的に交渉を始めたのは、菅直人首相の民主党政権であったからだ。 それを支持したのは連合だ。 TPPに限らない。 民主党政権が続いていても、いまの安倍自公政権と同じような政策になっていたと思われるものが、あまりにも多すぎる。 そのような民主党との政権交代の繰り返しなど意味はないのである。 いまの民主党が続く限り、安倍自公政権と大きな変化はない。 そう私は確信している(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)