□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年4月22日第331号 ■ ========================================================= 射撃許可を出していた事を告白したPKO派遣隊長の衝撃 ======================================================== 集団的自衛権の行使容認で、いよいよ自衛隊の本格参戦が現実のものとなろうとしている中で、衝撃的な記事を見つけた。 きのう4月21日の朝日新聞が悪化する南スーダンに派遣されている自衛隊PKOのジレンマについて書いていた。 すなわち国連本部は南スーダンに派遣されている国連PKO派遣団の司令部に対し昨年12月23日に「市民を守るため、武器の使用をはばかる必要はない」という指令を出したという。 その一方で南スーダンPKOに派遣されている日本の自衛隊はPKO参加5原則によって縛られている。 自衛のための武器使用がどこまで許されるのかというジレンマがある。 私が衝撃を受けたのは朝日のインタビューに答えた井川賢一自衛隊派遣隊長の次の言葉だ。 すなわち井川隊長は、南スーダンの首都ジュバで昨年12月に起きた戦闘が予想以上に激しいものであったことを認めた上で、次のように隊員に対し武器使用許可を与えていた事を朝日の記者に認めたのだ。 「・・・我々は(国連本部の指令のような)任務遂行型の武器使用ができない。『避難民を守るために撃て』とは命じられない。よって、隊員には『各自、あるいは部隊の判断で、正当防衛や緊急避難に該当する場合には命を守るために撃て』と命じた・・・もし私の見通し通りになっていた場合は、撃っていたかもしれない・・・」 インタビューをした朝日の記者は、「射撃許可が出された経緯が明らかになるのは異例」と驚いている。 しかし驚きを通り越して衝撃的だ。 究極の判断が現場に任され、場合によっては自衛隊がスーダン人を殺していたかもしれなかったのだ。それを国民は知らされていなかったのだ。 そういえばこの井川隊長は韓国に弾薬1万発を貸与する事を現場で判断したとされた隊長だった。 だからといって井川隊長を責めるのは酷だろう。 日本の政治は究極の判断をすべて現場に押しつけてきたのだ。 そしていま安倍首相は解釈改憲をして自衛隊が戦争に参加する事を可能にしようとしている。 国内法を変えて自衛隊が任務遂行の為に武器使用を可能にすることにしようとしている。 晴れて自衛隊は武器使用が可能になり、現場はためらいもなく任務遂行の為に敵を殺すことが出来るようになる。 自衛隊はジレンマから解放されるが、戦争の犠牲になる覚悟をしなければならなくなる。 自衛隊をこころざした者なら、日本本土や日本国民を守るために犠牲になるなら本望かもしれない。 しかし同盟国の戦争の為に地球の裏側に行ってまで人を殺し、殺される覚悟はあるのか。 集団的自衛権行使容認とは自衛官にその覚悟を迫ることである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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