□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月22日第251号 ■ ========================================================= ウクライナ問題で途方に暮れたNHK解説委員たち ======================================================== ウクライナ問題についてのテレビの解説が花盛りだ。 それもいいだろう。これだけの問題だ。いくら議論しても悪くはない。 しかしどの番組を見ても無責任な意見の繰り返しばかりだ。 民放ならまだ許せる。 しかし天下のNHKがまともな議論を行わないのは残念だ。 そう思っていたらきのう深夜(3月21日24:00-22日01:00)のNHK総合テレビの解説スタジアムという番組で「緊迫ウクライナ 世界は」と題して解説委員たちによる討論番組が行われた。 私は期待してそれを見た。 残念がらそれぞれの解説委員の意見の披露に終始し、時間切れで結論のないまま終わった。 時折紹介される視聴者からの意見は耳障りだった。 この番組は内政についての世論調査番組ではない。 歴史的に複雑な背景があり、領土保全という安全保障の本質にかかわる深刻な国際政治の問題について、一般視聴者の意見を聞いてどうするというのか。 「米国もロシアもよく話し合って解決してください」なとか、「日本に悪影響がないようにしてもらいたい」とか、そんな視聴者の意見を紹介して問題の理解にどう役立つというのか。 解説委員はいまこそ自らの経験と知見を活かして、視聴者の前に問題の本質と正しい解決策を語るべきだ。 私が期待したのはまさしくそれだ。 しかし納得する意見が見られないまま時間切れで終わった。 そんな解説委員を非難するつもりはない。 それほど難しいテーマであるからだ。 そんな中で断然光っていたのは元ロシア支局長の石川一洋NHK解説委員だった。 彼は今度のプーチンのクリミヤ併合を、スターリンが北方領土を併合した事を引用し、大きな戦略ミスだと断じた。 プーチンは時として激情におぼれるが、一気にクリミヤ併合に突き進んだこともその面があったのではないかと解説して見せた。 そして日本は領土問題と切り離してこの問題に対応すべきだと言った。 すなわち培った信頼関係がある安倍首相はいまこそプーチンに対して友人として間違いだとはっきり言うべきだと言った。 これは痛烈な安倍首相の対ロ外交批判だ。 その上で、石川氏は、ウクライナはロシアにとっても欧米にとっても極めて重要な地域であり、それゆえに、ウクライナの安定の為にロシアと欧米が話し合いで解決するほかはない、それが出来ないはずがない、それを目指ほかはない、と断言した。 返す形で米国と日本の関係について、対米従属に走って迷走するのではなく、法の支配による領土保全というのなら、いまこそ日本は米国に対し日本の尖閣領有権について日本支持を明確に表明するよう米国に求めるべきだと語った。 痛烈な外務官僚批判だ。 石川氏のような人物が外務官僚の中にいるなら、安倍外交ももう少しましなものとなっていたに違いない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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