□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月22日第250号 ■ ========================================================= 安倍首相にとって決して「よくない」日米韓首脳会談 ======================================================== 韓国政府が日米韓首脳会談に応じる事を正式発表したことを記者団に聞かれて、安倍首相は「よかったと思います」と語ったという。 これは本心ではない。 なぜならば今度の日米韓首脳会談は安倍首相にとって歓迎できない理由が満載であるからだ。 まず首脳会談が行われる場とタイミングがある。 今度の核・安保サミットの目的は当然のことながら核テロにどう対応するかが主要なテーマだ。 それに加えてウクライナ問題が急きょ浮上し、この機会にG7のサミットが開かれる。 核テロ対策と言い、ウクライナ問題と言い、安倍首相に出番はなく、それどころか福島原発事故の収束もおぼつかない。 日本の対応が迫られ、安倍首相は防戦一方となる。 そのようなサミットの場を利用して行われる首脳会談は、日本にとっては最悪の場であるのだ。 しかも日米韓首脳会談が行われるタイミングはすべてが終わった最後だ。 朴大統領と習近平主席の首脳会談が開かれた後だ。 言うまでもなく中韓首脳では安倍首相の歴史認識問題を厳しく批判し、それを会談後に公表する。 一方の安倍首相は、習近平主席はもとより朴僕大統領とも個別首脳会はできないままだ。 言われっぱなしで日米韓首脳会談に臨むことになる。 次に問題なのは日米韓首脳会談で何を話すかということだ。 すなわち歴史認識問題は一切扱わず、北朝鮮問題を主要議題とするという。 これは拉致問題解決のために日朝協議を急ぐ安倍首相に対する米韓の牽制である。 「核・ミサイル問題を忘れるな。それを棚上げして日朝国交正常化を行うことは許さない」ということだ。 三番目の問題として、今度の日米韓首脳会談が実現した背景に安倍首相の河野談話見直し否定発言が、あたかも前提条件のごとく行われたということだ。 すなわち安倍首相が国会で何度も河野談話を見直さないと公約したからこそ韓国は応じた。 もし今度の日米韓首脳会談の後で、安倍政権が少しでも見直しの動きを見せるなら、その時こそ韓国や米国は許さない。 それだけではない。 安倍首相の側近やお友達が河野談話見直しを口にし、それを安倍首相が止めないようであれば、批判は安倍首相に向かう。 サミットの前提を自ら崩すのかと。 これを要するにもはや安倍政権は今度のサミット開催に応じた時点で、少なくとも河野談話の見直しは出来なくなったということだ。 それだけでなく、それを要求する安倍側近の言動を黙認する事は出来なくなったということである。 ざっと指摘しただけでもこれだけの不利な条件下で行われる日米韓首脳会談である。 そんな会談をなぜ安倍首相は「よかった」などと歓迎できるのか。 それが嘘である事をきょう3月22日の朝日新聞が見事に書いている。 米国の強い圧力があったからだと。 すなわち米国は2月位下旬にケネディ大使から首相官邸に日米韓首脳会談の打診があり、3月7日の電話会談でオバマ大統領から念押しされた。 ただでさえ行き詰まった安倍外交はウクライナ情勢でさらなる窮地に陥った。 おまけにオバマ大統領の訪日を4月に控えている。 とても断ることなどできなかったというのだ。 ここまで譲歩したのに、韓国側が会談受け入れを最後まで渋ったことに対し、安倍首相は「うんざりだ」と不満を漏らしたという。 政府高官は「会って写真を撮る事が政治的に一番大切なことだ」と語っているという。 これでも安倍首相は本心で「よかった」と思っているというのか。 嘘つき安倍はここでも証明されたということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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