□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月21日第249号 ■ ========================================================= ウクライナ問題が浮き彫りにした憲法9条の危機 ========================================================= 今度のプーチン大統領のクリミア併合に関するメディアの報道とそこで繰り返される有識者の様々な解説はあまりにも無責任だ。 ウクライナやクリミアとロシアの複雑な歴史的、民族的背景を解説してみたり、米国の腰砕け振りを嘲笑してみたり、あらたな冷戦だと騒いでみたりする。 そのような意見を司会者やタレントたちが受け売りよろしく語る。 それもいいだろう。 しかし本当は、今度のプーチン大統領が行った事とそれを米国さえも制止できなかった現実は、国際政治、とくに国際平和に計り知れない負の影響を与える深刻な歴史的一大事であるのだ。 何が深刻なのか。 それはどのように複雑な背景、経緯があったにせよ、一度合意された領土主権を軍事力によって、もしくは軍事力の威圧によって、一方的に変更することを誰も防げなかったということである。 国連も、世界の警察国家である米国も、まったく無能であることが証明されたことである。 もちろんこのような事はこれまでにもあったという意見もあるだろう。 国連を無視して単独でイラク攻撃を行った米国が今度のロシアを非難できるのかという声もある。 しかしその米国でさえ公然と領土主権を軍事力で変える事はしていない。 プーチン大統領はそれを行ったのである。 そしてそれを誰も止められなかったのだ。 このプーチン大統領の行為を一番深刻に受け止めなければならない国こそ憲法9条を持つ日本なのである。 日米安保条約によって米国に守られているはずの日本なのである。 今度のプーチン大統領の行為が認められることになれば、だから憲法9条は役立たないのだ。日本は軍隊を持って自らの安全を自らの手で守らなければいけない。 そういう意見が正当性を持つようになる。 さすがに日米同盟論者の中からは日米同盟を止めて独自の軍隊で日本を守れという意見は出ない。 あの田母神氏さえもそう言わない。言えない。 そのかわりに、日米同盟を強化するためにも軍隊を持ち、強化すべきだという意見がでるのだ。 それが安倍首相の目指す集団的自衛権の行使容認である。 どちらに転んでも憲法9条の最大の危機である。 ところがウクライナ情勢を前にしてこの事を正面から唱える護憲派はいない。 プーチン大統領は憲法9条の敵だ。 こう明言する護憲派の識者が出てこなくてはいけない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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