□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月19日第244号 ■ ========================================================= 安倍首相の靖国参拝に激怒した習近平 ========================================================= 送付されて来た 「アジア記者クラブ通信」の最新号(259号)に、今年の1月17日に行われた近藤大介氏の「中国、北朝鮮はどこに向かうのか」と題する講演録が掲載されていた。 近藤氏の肩書は週刊現代編集次長というものであるが、2012年まで講談社の北京駐在員として中国情勢を追いかけていただけでなく、長年中国情勢を専門にしてきた中国通だ。 最近では「対中戦略」(講談社)という著書があり、それを私は2013年4月22日のメルマガで、これは「日本の対中外交の指南書だ」と推奨した。 その近藤氏がメディアでは決して明かされていない要旨次のようなエピソードを語っていたので読者と共有したい。 すなわち安倍首相が靖国参拝を強行した12月26日という日は、毛沢東主席の生誕120周年の記念日であったという。 ここまでは当時の日本の報道も指摘していた。 しかし、あたかもその日にぶつけるかのように行った安倍首相の靖国参拝が習近平をいかに激怒させたか、その凄まじさを書いたものはなかった。 それを近藤氏は次のように語っているのだ。 習近平主席は誰よりも毛沢東を尊敬している。その日も中国トップ7人を全員引き連れて毛沢東の廟に行き30分間の参拝を終えてリムジンに乗り込んだら、そこに彼の秘書室長・中央弁公室の朱国峰が乗っていた。習近平の車には運転手のほかはボデーガードだけが同乗するのが常であるが、そこに秘書室長が乗って待っていた。そして習近平が車に乗り込んだとたんこう報告したという。「いまから安倍が靖国参拝します」 (筆者註:近藤氏によれば、北京の日本大使館さえ寝耳に水だったという。日本政府が公式に在日中国大使館に安倍首相の靖国参拝を知らせたのは参拝の1時間前であり、木寺駐中国大使もそれを知らされたのは当日の朝だったという。ちょうど12月26日は正月休みで木寺大使夫妻はその日休暇帰国しようとしていた。午前の全日空機で帰国していれば機中の人となっていたが、たまたま午後の便にしたため、安倍首相の靖国参拝の報を受けて木寺大使は帰国出来なくなり、夫人一人帰国したという) 秘書の報告を聞いた習近平は言葉を一言も発することなく怒り心頭で「うーん」とうなった。尊敬する毛沢東120周年の参拝を終えて清らかな気持ちになったところに安倍が参拝をぶつけて来たと思ったに違いない。おまけに習近平の毛沢東廟参拝がトップニュースになるはずだったが、安倍の靖国参拝にかき消された。安倍参拝がその日のトップニュースになった。それほど中国にとって一大事だった。 習近平主席がすぐに命じたのは「2014年、どういう日本への対抗措置をとったらいいか考えろ」だった。命じられたのは、外務部、新華社通信、社会科学院、国家安全部、人民解放軍、中連部(中国共産党対外連絡部)の6部署。それぐらい靖国参拝は習近平にとって打撃を与えた。習近平にとって安倍は絶対に許せない存在になった。安倍首相は首脳会談のドアは開かれているなどとのんきな事を言っているが、安倍政権の間は首脳会談は絶対にない。 以上が近藤氏の紹介したエピソードと近藤氏の見方だ。 近藤氏は決して習近平の対日対抗策が正しいと言っているのではない。 安倍首相に譲歩しろと言っているわけでもない。 近藤氏が言っていることは、安倍首相は靖国参拝が習近平に与える影響についてどこまで知った上であのタイミングで強行したかと言っているのだ。 そして習近平の怒りと、それに基づいた中国の安倍政権に対する周到で強固な対抗策をどこまで深刻に受け止め、それに負けない周到な対応策と覚悟を安倍政権と外務省はdこまで持っているのか、疑念を呈しているのである。 ちなみに近藤氏によれば習近平が最も尊敬する人物は父親と毛沢東についでプーチン大統領であると話している。 対ロシア外交でも安倍首相は習近平主席に勝てないという事である。 この講演録が掲載されている「アジア記者クラブ通信259号」を入手したい読者の為に以下に連絡先をお知らせしておく。 アジア記者クラブ 郵便番号 101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-13-502 電話兼ファックス 03-6423-2452 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新しいコメントを追加