□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月14日第231号 ■ ========================================================= TPP再協議はすべて安倍首相の政治決断のシナリオづくりだ ========================================================= TPP交渉をめぐる実務者協議はまたもや不調に終わった。 それはそうだろう。 甘利大臣とフロマン代表の閣僚協議が不調に終わったばかりだというのに、今更実務者協議を重ねてどうして合意が図られるというのか。 それでも4月末のオバマ大統領の訪日まで協議は続けられるだろう。 何を協議するのか。 それはオバマ大統領訪日時に安倍首相が政治決断して解決するというシナリオづくりを協議するのである。 安倍首相が政治決着するのであるから、その手柄を事前に官僚たちが合意してしまっては元も子もない。 黒子はサプライズのシナリオ作りにこそ懸命なのだ。 それではそのような政治決着のシナリオはどうなるのか。 その答えをきょう3月14日の朝日新聞が、米日経済協議会のジェームズ・ファザリー事務局長の言葉を借りて書いている。 すなわちファザリー局長は日本が関税維持を主張する農産品について、「一部は長い時間をかけての関税撤廃も可能だ」という。しかし、長い時間をかけてもいいのは「2-5品目程度だ」という。言い換えればそのほかの品目は即時撤廃ということだ。 米国はすべての関税撤廃の要求を貫いた事になる。 日本にとっては米をはじめとした重要5項目の関税維持を死守したことになる。 日本はその他の分野の全面譲歩は織り込み済みだ。農産品以外は最後は政治的にはどうとでもなるからだ。国民を泣かせればいい。 かくして4月末のオバマ訪米時に安倍首相の政治的決断でTPP交渉の日米合意は実現することになる。 思えば昨年3月に安倍首相が参加を表明して以来、すべての交渉はここに収斂されるということだ。 しかし、これにはまだおまけがある。 日本がいくら譲歩しても肝心の米国でどうなるかわからないという。 ファザリー氏はTPP妥結に向けた米国内の調整が難航していることを認めている。 TPP交渉は米国に始まり米国に終わる交渉だということだ。 安倍首相の政治決断と言う名の全面譲歩でさえも、米国の国内説得の材料でしかない。 これがTPP交渉の実態である。 大騒ぎしてきた日本が馬鹿を見るという話でる(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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