□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月13日第227号 ■ ========================================================= 対米従属の外務官僚に包囲された安倍首相の腰砕け ========================================================= きょう3月13日の読売新聞が「論点」というコラムで藤崎一郎前駐米大使の「日米関係の重要性」と題する寄稿を掲載している。 その趣旨は高まりつつある日米同盟漂流論に対する反論だ。 惑わされてはならない。東アジアの平和と安全を確保しているのは日米同盟であり、米軍の存在である。それは揺るいでいない。日米関係にきしみが生じたら喜ぶのは誰か。オウンゴールを許してはいけない、というものである。 これはまさしく米国が安倍首相に送っているメッセージである。 外務官僚が米国の手先となって日本の総理に歯止めをかけようとしているのだ。 その藤崎一郎前駐米大使と外務省の同期である谷内正太郎日本版NSC局長は、藤崎一郎氏とは同じ米国研修生仲間だ。 そしてその米国研修生仲間の中でも二人は特に仲がいい間柄だ。 谷内氏は外務次官の後に駐米大使をオフォーされたが、自分には向いていないと言って駐米大使になりたくて仕方がなかった藤崎氏に配慮してそれを譲った関係だ。 谷内氏は安倍首相の考えに近いとして三顧の礼を持って外交参謀に迎えられたという事になっている。 確かに谷内氏の考えは国粋的だ。 しかし所詮は外務官僚である。 谷内氏もまた米国を「失望」させた安倍首相に危惧を抱き、ここにきて急速に安倍外交の修正にかかっている。 靖国参拝では菅官房長官と並んで反対した谷内氏はまた「価値観外交」の提唱者でもある。 ウクライナ問題では日米関係最優先を安倍首相に進言し、その結果安倍首相も今回のロシアのクリミア併合を懸念するという立場を取ることになった。 それを伝えるために谷内氏は訪ロした。 そう思っていたらやはりきょう3月13日の産経新聞が宮家邦彦氏の「WORLD WATCH」という連載コラムを掲載した。 そこで宮家氏は警鐘を鳴らしている。 ロシアのクリミア併合が黙認されるようなら、中国は東アジアにおける「力による現状変更」も可能になると誤解するだろう。決して認めてはいけない、と。 これもまた米国が日本に伝えていることだ。 すなわち米国のアジア重視政策を妨げるような事をしてはいけないと宮家氏は言っているのだ。 元外務官僚の宮家邦彦氏の言説が、はるか先輩で、はるかに出世頭の谷内、藤崎両氏の方針に反することなどありえない。 これを要するに対米従属の外務官僚が一斉に安倍首相を包囲して、歴代の自民党政権に対してそう導いて来たのと同様に、安倍首相に軌道修正を求めだしたということである。 一人では安倍首相に立ち向う勇気はなくても、結束して説得すれば怖くないということだ。 そしてその後ろには米国という守護神が控えている。 もはや安倍首相は自らの信念を捨てて対米従属にならざるを得ない。 安倍周辺のろくでもない右翼政治家たちがどのように騒ごうとも、東大出身者らで占める外務官僚の組織力に勝てるはずがない。 そして、ひとまず安倍暴走は止められても、対米従属に戻った安倍政権はそれはそれでまた日本国民にとって、沖縄にとって、護憲論者にとって、絶望的であるのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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