□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月12日第226号 ■ ========================================================= 安倍外交を待ち受けるこれだけの難問 ========================================================= ある週刊誌から「安倍外交で日本はどうなるのか」についてコメントを求められた。 来週発売の特集記事にしたいという。 私は要旨次のように答えた。 4月から始まる消費税増税の悪影響や原発汚染水被害のさらなる拡大で、安倍政権は外交どころではないだろう。 しかし外交に限ってみてもこれだけの難題が待ち構えている。 まず4月末のオバマ大統領の訪日である。 オバマ大統領に歴史認識やTPPやウクライナ問題などで譲歩を迫られる。 その時、安倍首相がオバマ大統領を失望させるようなら日米関係はさらに悪化する。 その次は6月上旬のロシアでのソチサミットがある。 ウクライナ情勢いかんでは、米国はサミットをボイコットし、欧州主要国もそれに共同歩調をとるだろう。 そうなれば安倍首相は欧米に従わざるを得ない。 安倍首相の対ロ外交の破たんである。 私が一番懸念するのは11月の北京におけるAPEC首脳会議だ。 中国政府は、その日程を11月10、11両日に決めた。 オバマ政権の要請を受け入れて11月4日の米中間選挙後に開くことにしたのだ。 オバマ大統領は感謝してAPEC首脳会議に臨むだろう。 中国は11月のAPEC首脳会議を中国と米国の二大国支配体制誇示の場にする狙いだ。 その時までに安倍首相が中国との関係改善を実現できていなければ、そして安倍首相が政権にとどまる限り中国との関係改善は100%無理だが、11月のAPEC首脳会議は日本はずしの場となるだろう。 安倍首相の出る幕はない。 そもそもAPECは日本が主導して80年代につくった環太平洋構想が発端だった。 それが30年ほどたって日本孤立の場になるとは、外交敗北以外の何物でもない。 おまけに来年は第二次大戦が終了した70周年記念に当たる年だ。 戦勝国である中国は米国とともに戦勝国で作った戦後の国際秩序の重要性を謳いあげるだろう。 終戦70周年記念の祝賀が、とりもなおさず安倍首相の歴史認識の誤りを許さないという年になる。 安倍首相は面子にかけていまさら戦後レジームのチェンジが間違いだったと認めるわけにはいかない。 その結果日本外交は戦後の積み上げを一挙に失うことになる。 これらは外交が少しでもわかる者にとっては自明のことである。 それにも関わらず、安倍首相に退陣を求める声が政府内部からも、メディアの中からも、国民の中からも出てこないとすれば、日本外交は終わりだ。 「安倍外交で日本はどうなる」などというのんきな事を書いている場合ではない。 以上が私のコメントである。 その週刊誌の記者は、みょうに納得して聞いていたが、果たして来週発売のその週刊誌がどのような記事を書くのか。見ものである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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