□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月7日第218号 ■ ========================================================= ウクライナ危機が安倍政権を倒すと書いた週刊フライデー ========================================================= きょう3月7日発売の週刊フライデーがウクライナ紛争を読めなかった安倍首相の「お友達政権」を痛烈に批判する記事を掲げている。 その記事は最後の次のような文章で締めくくるほどだ。 「ウクライナ・クリミア危機が、安倍政権の『終わりの始まり』になるかもしれない。安倍総理は最近、再び『腹痛』を訴えるようになったという」と。 安倍首相が知ったら激怒するような記事だ。 ウクライナ問題で安倍首相が終わるというのはもちろん単純化し過ぎである。 しかしそこに書かれている対ロシア非難声明賛成に至る安倍政権内の混乱は興味深い。 すなわち、「ここでロシアに理解を示せば、北方領土問題解決の糸口を向こうから提示してくるはずだ」と鈴木宗男元衆院議員が安倍首相に直接提言してきたという。 いうまでもなく鈴木宗男氏は森元首相と同様自称ロシア通だ。 北方領土問題の解決を最重要視し、それが解決できれば歴史に名を残せると安倍首相に進言しているといわれている二人だ。 そのような鈴木、森氏に対し、菅官房長官と谷内正太郎国家安全保障局長は、同盟国であるアメリカと足並みを乱すことはできない、ロシア批判やむなし、と主張し、その間に立って安倍首相は悩んだという。 そして安倍首相は最後は非難決議に参加した。 このフライデーの記事が事実だとすれば、谷内正太郎国家安全保障局長の3月中旬の訪ロはますます無意味なものになる。 ただでさえ無意味な谷内氏の訪ロであるというのに、日米同盟優先にまわった谷内氏がロシア側と意味ある協議などできるはずがない。 それより私が驚いたのは週刊フライデーのその記事の中で佐藤優氏が、ロシアとの関係悪化はもはや避けられない、北方領土交渉への悪影響は避けられない、と安倍外交の失敗を認めているところだ。 佐藤氏はウクライナ問題で鈴木宗男と袂を分かって谷内正太郎氏のように対米従属にまわったのか。 そう思っていたら、きょう3月7日の東京新聞と産経新聞で佐藤氏は明確にロシア批判を繰り広げている。 すなわちプーチン大統領は、1968年の「プラハの春」をつぶしたブレジネフと同じだ。「ロシア国家の利益が脅かされる場合、近隣諸国の主権は制限される」という制限主権論を振りかざすプーチン大統領は、「社会主義共同体の利益が脅かされる場合、個別国家の主権は制限される」というブレジネフ・ドクトリンの21世紀版だ、と書いている(東京新聞「本音のコラム」) ウクライナをめぐりロシアは露骨な帝国主義政策をとっている。ウクライナ南部クリミア自治国で軍隊を展開しているが、これは明白な主権侵害だ。G7(日米英仏独伊加)首脳は非難声明を発表したが、当然のことだ、と書いている(産経新聞) 佐藤氏の情報はイスラエルのモサド情報だ。 その情報に基づいてはっきりとロシア批判に回った。 安倍首相はもはや日米同盟優先に舵を切らざるを得ないということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)