□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月8日第219号 ■ ========================================================= 官僚が妨げる日本の電力自由化 ========================================================= 私は3月5日のメルマガ第212号で、自民党が2月末に了承した家庭向け電力自由化の方針については、もっと注目され、評価されてもいいのではないかと書いた。 家庭向け電力供給が自由化されると、東電などの既存電力会社の独占が崩れ、消費者の力が強まると思うからだ。 少しくらい高くても自然エネルギーによる電力供給を求める消費者が増えれば、おのずと脱原発が進むと期待されるからだ。 だからこそ電力業界やその庇護者である経済産業省が電力自由化を拒んできたのではなかったか。 それがついに家庭向け電力の自由化に踏み切るというのだから、これは画期的な事ではないか、と書いた。 そうしたら読者の一人から太陽光エネルギー電力の買取り価格がどんどんと低下しておりこのままでは太陽光エネルギー電力の普及は進まなくなるおそれがあるというメールが寄せられた。 その通りの事をきょう3月8日の各紙が一斉に報じた。 すなわち経済産業省は3月7日、4月1日からの再生エネルギー買い取り価格の見直しを固めたと。 太陽光への偏りが大きいとして太陽光電力の買い取り価格を引き下げる一方で、洋上風力電の買い取り価格を引き上げて促進すると。 認定件数の少ない地熱やバイオマスなどは買い取り価格を据え置き、中小水力発電については既存の水路を活用するに限って新たに買取り枠を決めると。 これを要するに再生エネルギーの将来は、すべて経済産業省が決める不透明で、不安定な買取り制度に左右されるということだ。 その裏にはもちろんそれぞれのエネルギー開発業界との利害が絡む。 2012年7月に導入された買取り価格制度によれば、買い取りの価格や期間は再生エネルギーごとに、事業上のコストや利潤を勘案して、経済産業省が年度ごとに決定することになっているという。 そして電力会社が買取る費用はすべて電力料金に上乗せされ、全利用者から徴収されるという(3月8日日経)。 これを要するに、電力会社の独占権は温存しつつ、再生エネルギーの発展は、経済産業省の思いのままに振り回されるということだ。 これでは個人消費者のための再生エネルギー発展は望めない。 消費者のための電力自由化もまた官僚支配から脱却しなければは実現しそうもないということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)