□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年5月16日第352号 ■ ============================================================== 飯島訪朝をあえて褒め殺す ============================================================== 私はきのう5月15日のメルマガ第347号で、突然の飯島訪朝を選挙目当てのパフォーマンスだと切って捨てた。 その思いはいまも変わらない。 しかしその後の報道について私は二つの事に注目し、あえて安倍・飯島コンビの今度の訪朝を褒め殺したいと思う。 私が繰り返して使う「褒め殺し」とは、「そんな事が出来るはずがない、しかしそれが出来れば大したものだ、おそれ入りましたと脱帽する。自分を脱帽させるぐらいの事をやってみろ」というぐらいの意味である。 果たして安倍・飯島コンビは、パフォーマンスと切って捨てた私の判断を裏切る形で、小泉首相でさえも出来なかった快挙をやって見せるのだろうか。 私が注目した記事の一つは、今度の訪朝について米国や韓国に事前通報をしていなかったという報道である(5月16日読売、朝日など)。 飯島氏の訪朝が明らかになった14日、北朝鮮政策のすり合わせのため韓中日を訪問中のデービース米政府代表は訪問先のソウルで「聞いていなかった」と不快感をにじませたという。 韓国政府当局者も15日、事前通報がなかったことを明らかにした上で、「米韓が中国を巻き込んで北朝鮮に圧力をかける態勢を作り上げたのに、日本が台無しにした」と強く批判したという。 この批判にどう応じるのか。 米韓の反発に驚いて腰砕けになるようであれば何をかいわんやである。 しかし米韓の反発を承知の上で、安倍・飯島コンビが覚悟を決めてさらに訪朝外交を進めるのなら大したものだ。 もう一つの報道は、北朝鮮の朝鮮中央放送が飯島氏と金永日朝鮮労働党書記(国際部長)との会談を伝え、その中で過去の清算の必要性を訴えたことである(5月16日毎日)。 これについて毎日新聞は「日本との対話再開もにらみ、けん制したものと見られる」と書いているが、おそらくそれだけではない。 安倍・飯島コンビが「過去の清算」について話し合う用意があることを北朝鮮に伝えた上で訪朝を仕組んだのだ。 もしそうであるならば、私がかねて主張してきた通りだ。 すなわち日本は北の核は米韓中に任せておいて、拉致問題と日朝国交回復について日朝直接交渉で一括解決する事を優先すべきだと私は言ってきた。 それこそが日本の自主的な対北朝鮮外交であって、米国や韓国にとやかく言われる筋合いはないと言ってきた。 しかも過去を清算し、補償して、日朝国交回復を実現する事は、安倍首相を支える右翼、国家主義者にとっては受け入れられない暴挙である。 そんな右翼・国家主義者の反発にも関わらず日朝国交正常化を決意したとすれば、私はその決断を評価したいのである。 果たして褒め殺しが奏功するだろうか。 それとも飯島訪朝は単なるパフォーマンスに終るのか。 興味深く注視していきたい(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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