□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年5月16日第351号 ■ ============================================================== 「活断層断定」の判断を下した原子力規制委員会の快挙 ============================================================== 福島原発事故から2年2ヶ月あまり、ついにこの国の原発政策を決定付けの意味のある決断がはじめて下された。 きのう5月15日に原子力規制委員会の専門家チームが下した、敦賀原子力発電所の直下が「活断層」と断定したことだ。 この衝撃ははかり知れない。 野田民主党政権が昨年9月原子力規制委員会を発足させた時、原子力発電所の再稼動や維持の唯一の判断基準は安全性についての専門的判断であり、それを一任するのが原子力規制委員会だと言い切った。 それは、みずからの政治決断を下すことから逃げるための方便という要素が多分にあったと思うが、いまその「安全性」に逆襲を受け、敦賀原発の廃止が不可避となった。 この判断が与える影響は敦賀原発発電所の廃止にとどまらない。 次々と安全性に疑義のある原子力発電所が出てきて、その安全性に関する専門的・技術的判断がこの国の原発政策全体に大きな影響を与えていくだろう。 敦賀原発発電所を所有している日本原子力発電が徹底抗戦を唱えている。 それはそのまま衝撃の大きさを示している。 敦賀原発が廃炉になれば日本原電もまた終るからだ。 そして日本電源が終ればそれを支えてきた9大電力会社が受ける影響も甚大であるからだ。 だから今後は活断層決定を覆すあらゆる巻き返し工作が行なわれるだろう。 しかし原子力規制委員会の専門家が下した決定を一企業が覆すような事はあり得ない。 そんなことを認める政治決定を安倍自民党政権が出来るはずはない。 7割の支持率は吹っ飛んでしまう。 私はかつて2013年1月14日のメルマガ第33号「 原子力規制委員会は健闘しているのではないか」で書いた。 野田民主党政権が昨年9月につくった原子力規制委員会は、その人事が原発ムラ寄りの人事だという反原発側の批判を浴びてすこぶる評判が悪かった。 私もそう最初は受け止めた。 しかしその後の田中委員長や島崎委員長代理の言動を見て、ひょっとして原子力規制委員会は脱原発に舵を切ったのではないのか、彼らを激励すべきではないか、と書いた。 それに対し読者の一部からその見方は甘いとう声も寄せられたが、原子力規制庁という官僚組織はともかくとして、少なくとも原子力規制委員会の委員たちは原発推進派の圧力の前に健闘しているのではないかと思って見てきた。 安倍自民党政権は本来ならば政権交代が起きたのだから委員の人事を一新できただろう。 しかし世論の反発を受けることをおそれてので出来なかったに違いない。 さぞかしホゾを嚙んでいることだろう。 活断層決定の判断が下された以上、委員をいまさら更迭することは出来なくなった。 かくしてこの国の原発政策は原発廃止の方向に向かって大きく動き出すことになると思う。 脱原発を叫んできた者たちは、いまこそ原子力規制委員会の専門家チームの英断を讃え、その下に結集して、この判断を出発点として脱原発に向けてのあらゆる運動を展開していかなければいけない。 福島原発事故から2年2ヶ月あまり、ついにこの国の原発政策を決定付けるはじめての意味のある決断が下されたのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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