□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年5月13日第342号 ■ ============================================================== 失敗に終わった司法制度改革と竹崎最高裁長官の責任 ============================================================== 少し前の事になるが裁判員制度をつとめた女性がストレス障害となったとして国賠提訴を行なったというニュースがあった。 私にしてみれば遅すぎるほどの出来事だ。 そもそも裁判員制度が出来た時、私はくじ引きで選んだ裁判員に拒否の自由を与えないことは徴兵制と同じ強制であり憲法違反ではないかと素朴に思った。 それを知り合いの弁護士に聞いたところ、それを認めると拒否者が続出して裁判員制度がなりたたなくなるという答えが返ってきた。 その一方で当時、新聞の投書欄でこういう投稿を見つけて思わず笑った事がある。つまりその投稿者は80過ぎの老人で、試験に何度も挑戦したが失敗し、ついに裁判官になれずに終わった人であったが、その人が、裁判員制度が出来てついに自分の夢が叶った。これで自分も人を裁く事が出来るようになった、と喜んでいるのだ。 人を裁きたくてしかたがない人もいるのだ。 私は裁判員制度は成り立たないと思っている。 同じく検察審査会の強制起訴制度も矛盾に満ちたものであることは、小沢国策裁判の過程で白日の下にさらされた。 さらに言えば法科大学院創設も大失敗に終わった。 創設時には、新司法試験の合格率が7割程度になるとされていたが、実際には、当初の前提を大幅に上回る数の法科大学院が設置され、定員も大幅にオーバーし、合格率はどんどん低下して25%程度となり、法曹資格が取れない法科大学院修了者を大量に生みだされる結果になってしまった。 司法試験合格を目指すものにとっては詐欺まがいの結果に終ったのだ。 これらはいずれも司法制度改革によってもたらされたものである。 そしてそれを主導したのがこの国の司法制度の頂点に立つ最高裁であり、司法制度改革を手がけた張本人が今の竹崎博允最高裁長官であると当時報道されていた。 ところが最高裁の責任を問う声は一切聞かれない。竹崎博允最高裁長官に問いただす議員も、メディアもいない。 たとえば砂川事件の差し戻し判決を命じた田中耕太郎最高裁長官が米国に従属していた事があらためて米国の機密文書から明らかになったことが最近あった。 あの時最高裁は自ら関係資料を公開して説明責任を果たすべきだった。 いまでも最高裁は米国の影響下にあるのではないかという疑惑に答える義務があった。 しかし最高裁に対する追及は一切なされずにやり過ごされた。 この国の最高権力者の一人でありながら、これほど批判から逃れる事のできる存在はない。 最高裁長官には定例記者会見でも義務づけて、日々、国民の監視の下に置く、これこそが民主主義下の司法制度改革であると思う(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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