□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年5月12日第339号 ■ ============================================================== 「憲法九条の軍事戦略」という本に共鳴する ============================================================== 読者の一人から本の紹介メールを受けた。 ここに書かれている考えは、天木さんが「さらば日米同盟」(講談社)で訴えている「憲法9条は最強の安全保障政策である」という考え方と共通するのではないかと。 偶然にもその本を私は書店で見つけて買っていた。 そしてまったく同じ思いで読了したばかりであった。このメルマガで書評を書こうとしていた矢先だった。 その本とは「憲法九条の軍事戦略」(松竹伸幸著 平凡社新書 2013年4月15日初版)という本だ。 著者は冒頭において次のように書いている。 すなわち護憲派にとっては「九条の軍事戦略」という言葉や概念自体が九条の精神を汚すものと映るに違いない。なぜなら九条は軍事の対極にあるものだからだ、と。 一方で改憲派にとっては「九条の軍事戦略」などというものは、そもそも最初から存在し得ない。なぜならば改憲派にとっては、九条が軍事力を絶対的に拒否しているからこそ改憲が必要であるからだ、と。 要する「九条と軍事力は相容れない」という点では護憲派も改憲派も共通している。いや、このことは国民全体の常識だろう、と。 だが私はこの既成概念に挑戦した。まだ誰も試みたことのないこの作業に成功するかどうか、私にも自信はない。だが、やってみるだけの価値のある作業だと考え挑戦してみることにした・・・ こう前置きして書かれたこの本の内容は、憲法9条の精神に基づいた自主防衛政策を持つことこそ、日本にとっての最強、最善の国防政策であり、それは米国の戦争も、中国の軍事拡張主義も正しく批判できる自主外交につながる、世界の平和にもっともよく貢献できる、とするものである。 私の言う「憲法9条は最強の安全保障政策である」という考えと同じである。 そして著者は言う。確固とした安全保障政策を持つことなく、ただ9条を守れと訴えるだけの護憲派がひろく国民の心をつかめないのと同様に、日米同盟を与件として受け入れいたずらに対米従属を繰り返す改憲派もまた自らの国防政策を持ち得ていないのだ、と。 この事もまた私がかねて主張してきたことだ。 この本は改憲が現実的になってきた安倍政権下の政治状況の中で極めて重要な意味を持つ。 「さらば日米同盟」や、私と田母神氏との激論である「自立する国家へ」(KKベストセラーズ)と並んで、いまこそ国民の間で広く読まれる本である。 護憲派に対してはどうやって国民を守るのかと問いかけ、改憲派に対しては何のために改憲を急ぐのかと問い詰める本なのである。 私はこの本の著者である松竹氏に、一緒になって憲法9条の下の日本の自主防衛政策を確立しようではないかと呼びかけるつもりで平凡社を通じて手紙を送った。 送った後に気づいて驚いた。 松竹氏は日本共産党の外交・安保部長を歴任する名うての安保問題専門家であるのだ。 ますます彼と話し合いたくなった。 今のところ松竹氏から何の連絡もない(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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