□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年4月1日第231号 ■ ============================================================== 国家安全保障基本法のとてつもない危うさ ============================================================== ここにきて自民党と維新の会の憲法9条改憲に向けた協力関係強化がメディアで報じられるようになった。 橋下徹維新の会代表は「自公の単独過半数を阻止する」といって維新の会とみんなの党との選挙協力を加速して勢力を伸ばそうとしているが、こと9条改憲に関しては維新の会と自民党はまったく同じだ。 いまの政治状況がこのまま進み、7月の参院選挙で自民党と維新の会が票を伸ばせば、憲法9条改悪に向けて加速することは間違いない。 しかし憲法9条改悪よりももっと前に、もっと確実に、憲法9条が否定されることになる。 しかも憲法より下位にあるひとつの法律によって。 それが国家安全保障基本法というやつだ。 この法案の概要が自民党総務会で決定されたのは昨年7月である。 当時はまだ自民党は野党だったからメディアの取り上げ方は小さかった。 しかし自民党がこの法案の成立を昨年12月の衆院選の公約に掲げ、そして衆院選における自民党の勝利がほぼ確実になる中で、メディアも徐々にこれを取り上げるようになった。 例えば昨年12月9日の毎日新聞や東京新聞は、集団的自衛権の行使を可能とする「国家安全保障基本法」は憲法を否定するものであり、法律で憲法を超える事を認めるのは危険だと書いた。 そして自民党が総選挙で大勝し政権政党に返り咲いた。 ついに安倍自民党政権は国家安全保障基本法案を参院選前にも国民に提示し、選挙後に法案化に着手すると言い出すに至った。 そんな危険で違憲の国家安全保障基本法であるのになぜかメディアはこれを深刻に取り上げようとしない。 だから国民もその深刻性について気づかない。 そう思っていた私は半田滋東京新聞論説委員の講演要旨を見つけて驚いた。 いうまでもなく半田滋氏はこの国のジャーナリストの中では安全保障政策や防衛省の監視役として彼の右に出る者がいないほどの専門家だ。 その半田氏がさる2月20日に9条連主催の講演会で「安倍政権のゴマカシ 国家安全保障基本法の問題点」と題して講演している。 その概要が9条連ニュースの3月20日号に掲載されていたのだ。 そこには半田滋氏の言葉で次のように述べられていた。 安倍首相は国家安全保障基本法を議員立法で制定しようとしている。いままでは法律を改正する場合、憲法の番人である内閣法制局が現憲法と照らしてチェックしていたが、議員立法では内閣法制局のチエックを受けない。そして基本法案では例えば第3条では地方公共団体に安全保障に関する施策に関し必要な措置を実施する責務を負わせ、第4条では憲法でも規定していない国民の安保政策に関する責務、すなわち国の安全保障政策に協力しなければならない責務条項が盛りこまれているという。第8条では戦力不保持の憲法9条を骨抜きにする自衛隊の国軍化が書かれている。 大変な事が進んでいるのだ。 憲法を超える内容を持った法案が議員立法でつくられようとしてるのだ。 いうまでもなく議員は安倍自民党と維新の会で大多数を占めることになる。 議員立法で何でもつくれることになる。 安倍首相は参院選の直前に約束どおり国家安全保障基本法案を国民の前に提示する。 その時はじめてメディアが詳しく報じる。 しかしその時は既に時遅しだ。 そのまま参院選になだれ込み、選挙の結果、安倍自民党と橋下・石原維新の会の国会議員が多数を占める事になる。 平和を願う国民がいくら反対を叫んでも無視されるに違いない。 この国の政治はとてつもなく危険な状況になっている。 護憲政党が事実上死んでしまったということだ(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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