□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年4月1日第230号 ■ ============================================================== TPPによって分断される日本の自動車業界 ============================================================== TPPに関する害悪についてはどんどんと明るみになっていくが、発売されたばかりの月間エルネオス4月に掲載されていた「TPP交渉でうまれた業界相互不信」という記事は目からうろこが落ちる思いの記事だ。 すなわちその要旨はこうだ。 米国が日本の軽自動車を目の仇にするのは日本の消費者が経費節約のために軽自動車を好んで買うからだ。 それが気に食わないといって、軽自動車にかかる低税率、軽登録料、書庫証明不要などが貿易障壁であるという。 それはとりも直さず日本の消費者に不利益を強いることだ。 スズキの会長ならずともとんだ言いがかりだ。 ところがこの怒りを共有する声は大手自動車業界からは聞こえてこなかった。 不思議に思っていたらその理由がわかった。 大手自動車業界は、国内新車販売の4割を占める軽自動車に対する優遇をなくして一般車(登録車)の売上を伸ばしたいのだ。 だから米国の外圧を使って軽自動車の税制をはじめとした特典を極力なくすことを狙い、陰でTPP参加交渉をあおりたてたという(スズキ関係者)。 みずから手を下すことなく米国の外圧を使って密かにやりたい事を実現する。 外務官僚のよく使う手口だ。 それを大手自動車業界も使っているというのだ。 しかも軽自動車税の引き上げを歓迎するだけではない。 大手自動車業界はまた軽自動車の登録税を引き上げることについてもやはり米自動車業界と共通の利害関係にあるらしい。 すなわち先般固まった税制改正で自動車取得税の撤廃が決まった。 ところがその財源の穴埋めをしたい総務省は自動車登録税の引き上げを目論んでいるという。その場合は小型一般自動車(登録車)と軽自動車の登録税の差がますます大きくなり、小型一般車の売上が軽自動車に食われる。 だから大手自動車会社は米国自動車業界と同様に、登録税についての軽自動車への優遇をなくしたいというのだ。 日本の消費者が不利益を受けることになっても知ったことではないといわんばかりだ。 米国の「いいがかり」は日本の自動車業界を分断することになる。 これもまた米国の「分断統治」なのである。 TPPがこの国にもたらす害悪は多すぎるということだ(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新しいコメントを追加