□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月31日第229号 ■ ============================================================== 日中韓FTA第一回交渉終了をめぐる報道から見えるもの ============================================================== 私は3月28日のメルマガ第218号で書いた。日中韓FTA交渉の進展如何では東アジアの地域協力が大きく進む事になるかもしれないと。 いや、むしろ日本は積極的にこの交渉に取り組み、TPPよりもはやく日中韓FTAを実現して来るべきTPP交渉に有利な状況をつくるべきである。 果たして日本にその戦略はあるのが。米国はそれを手をこまねいて眺めるだろうか。 そういう観点から私は26日からソウルで開かれていた第一回交渉会合の成り行きに注目していた。 そしてその第一回会合は28日に終了し、29日の各紙がその結果をいっせいに報道した。 それを読んで、私はあらためて日中韓FTAの重要性について確信した。 各紙の報道には、知的財産権の保護について中国が猛反発したとか、共通関税率でまとまらなかったなどといったネガティブな報道も見られたが、総じてすべての報道がそれらを上回る想像以上の前向きな成果があったと報じている。 中国も韓国も日中韓FTAの交渉推進に積極姿勢を示したという。 なによりも日本側が様々な要求をし、中国、韓国もそれに聞く耳を持ったという。 これがアジアだ。 米国との交渉では絶対にこういう交渉にはならない。 会合終了後の28日にソウルの日本大使館で記者会見を開いた外務省の正木靖参事官が「(中韓から)早期に成果をあげたいという意思が感じられた。有益な会合であった」と述べたという。 米国との協議の後の記者会見であは、まずこのような発言が外務官僚から出ることはない。 安倍首相に正しい戦略があるのなら、日本はこの日中韓FTA交渉会合に全力を投入し、その実現を最優先すべきだ。 米国は不快感、警戒感を抱くだろう。 あるいはそのような日中韓FTAよりTPPを優先させろと圧力をかけて来るかもしれない。 しかし、安倍首相はクリントン大統領の言葉を借りて、「経済こそが重要なのだ、お馬鹿さん」とかわせばいいのだ。 自ら地域経済交渉を次々と進める米国が、日本に向かってそれをするなとは言えない。 安倍首相が対米自立を願っているのなら、この米中韓FTA交渉を最大限に活用しない手は無いのだ。 果たして安倍首相に、その事に気づく頭のよさがあるだろうか。 外務官僚はそれを安倍首相に進言するのだろうか(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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