□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月31日第227号 ■ ============================================================== 戦後の日本外交が世界に通用しない最大の原因がここにある ============================================================== きょう3月31日の読売「ワールドビュー」で前ニューヨーク支局の柳沢亨之という記者が要旨次のように書いていた。 国連本部会議場の2階にあるビエナ(ウィーン)カフェという名の喫茶店は会合の合間などで外交官が作戦会議を開く場として重宝されている喫茶店だ。その喫茶店で昨年夏、日独印ブラジルの次席大使らが話をしていた。彼等は国連安保理常任理事国入りを目指す4カ国の大使である。米中露を相手に外交戦を挑もうとしていたのだ。米中露3大国が安保理改革交渉の成果を潰す動きを見せていたからだ。昨年7月に安保理改革交渉の議長を務めていたアフガニスタン大使は改革の青写真をつくる意向を示していた。すかさず米中露の3カ国は、安保理改革交渉議長の任命権を持つ国連総会に面会して不満を表明した。米中露のそろい踏みは異例で、その外交圧力は強烈だっ・・・ この記事が活写する光景は、日本の戦後外交の基本的誤りを見事に活写している。 日本はいまだに国連憲章の旧敵国条項を削除できていない。 そんな日本は、米国との同盟関係を国是とし、中国と領土問題や歴史認識で対立しながらアジアの代表を競い合い、ロシアとの平和条約も結べないまま北方領土返還を求めようとしている。 それがあたかも日本外交の最重要課題として位置づけられてきた。 大きな誤りである。 日本はかつての帝国主義外交を反省し、帝国主義の犠牲になってきた世界の大多数の国の側に立って国際社会の平和、共存に貢献する国として再出発しなければならなかったのだ。 そしてそれはいまからでも遅くない日本が求められている外交だ。 日本国民にとっても利益をもたらす外交である。 しかし、戦後の日本の政治家や官僚たちは、戦勝国米中露の結束という現実を直視しようとせず、米国におもねって戦後の主要国の仲間入りをする事に奔走し、いまでは中国の台頭によって、その外交はどうしようもなく行き詰まってしまった。 その中国は、覇権大国を目指す一方で、非植民地のよしみでかつての非植民地国家への関係強化についても精力的に進めるしたたかさだ。 その象徴が習近平主席のアフリカ訪問であり、訪問先の南アフリカで発表したブラジル、インド、中国、南アにロシアを加えた開発途上国向けの開発銀行創設である。 外務官僚が言葉遊びでつくりあげた「価値観外交」などとは比べ物にならない実体の伴った戦略的外交である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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