□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月28日第220号 ■ ============================================================== ついにTPP不参加論を唱えた毎日新聞専門編集委員の笑止 ============================================================== これには驚いた。 きょう3月28日の毎日新聞「水説」で潮田道夫と名乗る専門編集委員がついに日本はTPPに参加しないほうがいいのではないかと言い出した。 しかもその理由がふるっている。 「TPPは日本の国益に反する」という私の反対論の根拠とは真逆で、日本がTPPに参加すると素晴らしいTPPがダメになる。だから日本は参加しないほうがいいと要旨次のように書いているのだ。 すなわち、日本が参加すると交渉が遅れる上に、その内容が本来のTPPの目指していたものを損ねることになる。TPPは自由化の例外を認めないという原則を貫いてこそTPPの値打ちがある。それが例外だらけの志の低い協定になるおそれが出てきた。日本の参加がそのようにしてTPPの値打ちを損ねるようになるくらいなら、いっそ日本はTPPへの交渉参加を見送ったほうが世のため、人のためになる。TPPは環太平洋経済ブロックである。そのTPPに参加しない事によって、日本が経済的、政治的に計り知れない損失をこうむるだろう。そのことに日本人全部が気づく。そうなってから全面降伏して参加すればいい。日本が交渉参加を表明した事によって日本の不参加はなくなった。途中で日本が抜ける事も現実にはありえない。だからTPPはこれから延々と交渉が続き、何年か後に、コメの例外が入った中途半端なTPPが出来上がるだろう。日本の国内改革も不徹底で終わり、日本再生は道半ばで終る。 以上のような理由で日本はTPPに参加しなくてもいい、と潮田氏は言っているのだ。 こんな冗談のような論説を毎日新聞は堂々と掲載しているのだ。 驚いたことは日本が参加しないほうが、「世のため人のためになる」と言っているところだ。 TPPは経済ブロックであると言っていることだ。保護主義を称賛するなどということはまともな識者なら口が裂けても言ってはいけないことだ。 それに入れてもらえなければ日本は不利になる。ざまあ見ろ。その時になってはじめて日本は全面降伏して無条件で参加することになる、とまで言っている。 日本国民全員を敵に回すような書き方だ。 極めつけは潮田氏がこの評論を締めくくっている次の言葉である。 「・・・もっとも、TPPは中国を睨んだ日米の協調行動という意味合いが大きくなっている。TPP参加で日本は中国への交渉力を増すことができた。それだけで十分かもしれない・・・」 もはやまともな論評とは思えないけれど本当にそう書いているのだ。 このような無茶苦茶な評論をしなければならないほど日本のTPP交渉参加は行き詰まってきたということだ。 いや、TPP交渉自体が行き詰まっていく。 もはやTPP論争が終った。 あとはTPPそのものが終るかどうかだけである(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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