□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月28日第218号 ■ ============================================================== 注目せよ!日中韓FTA交渉の正否が日本の将来を決める ============================================================== きのう3月27日の各紙が一斉に報じていた。日本、中国、韓国の三カ国が「自由貿易協定」(FTA)を結ぶための交渉をスタートさせたと。 これは物凄く重要な動きだ。 日本国民はこの協定交渉の進展状況を最大の関心を持って見守るべきだ。 なぜならばこの交渉の正否こそが日本の閉塞状況を打開してくれるカギを握っているからだ。 おりからTPP交渉の全貌が明らかになり、それにともなってTPP交渉の成立がそう簡単に行かない見通しがでてきた。 もし日中韓FTAが先行するようになればTPPなど吹っ飛んでしまうだろう。 いうまでもなく日本の最大の市場はすでに米国から中国に移っている。 米国から不当な要求を飲まされるTPPよりも、日中韓の間における相互互恵的な自由貿易圏ができれば日本経済にとってはるかに有益である事は明らかである。 そしてその事は、領土問題や歴史認識で動きがとれない日中韓の関係を雪解けさせてくれる効果を持つ。 「重要なのは経済問題だ、お馬鹿さん」 そう言って大統領選挙に勝ったクリントン米大統領の言葉を借りるまでもなく、もはや経済的関係が政治的関係を決定付けるほど、どの国も経済的利益が優先されるようになっている。 なぜならばどの国の国民も生活最優先であり、その要望に応えられない政権はすべて窮地に追い込まれる事を我々は毎日のように世界中で目撃している。 もし日中韓FTAが早期に成立しこの三カ国間の経済協力関係が一気に進むようになればアジア全体が活気づく。 そしてこれから書くことが最も重要なことであるのだが、これこそが米国を排除したアジアの連帯と発展に結びつくからだ。 マハティールがかつて提唱した東アジア経済共同体の実現である。 米国が干渉してこなければアジアは結束し、繁栄するのだ。 米国がもっとも見たくない現実だ。 だから米国は日中韓FTAの実現を指を加えて見逃すはずは無い。 様々な形で日本に圧力を加えてくるだろう。 その事を3月27日の朝日新聞は次のように見抜いている。 「日本はTPPの交渉に参加する事を表明したばかり。中国は米国主導のTPPに神経を尖らせており、日本は二つの交渉で難しいかじ取りを迫られる・・・」 今度こそ日本外交の正念場だ。 日中韓FTAの成功のカギを握るのは日本だ。 日本がこの日中韓FTA交渉の進展に本気で取り組む、譲るところは譲るなら、中国も、韓国も協力的になるだろう。 歴史的なアジア共同体ができる夢が広がる。 しかし、もし日本が米国の圧力に負けて米国の注文を代弁するような形で交渉に臨むなら、日中韓FTAはもたつく。 日本が米国の圧力に負けてTPPを優先するようだと、今度こそ日本は破滅するだろう。 最善の方法は何か。 それは日中韓FTAを先行させて、TPPを引きずり込むことだ。 米国を日中韓主導の自由貿易圏に参加させることだ。 そうすることによってアジアが主導権を握ることができる。 それを嫌って米国が参加を拒否する事になれば米国のアジア重視は嘘だということになる。 批判は米国に向けられる。 これこそが究極の自主外交である。 果たし安倍政権内にそれを言い出すブレーンは出てくるのか。 それを実行する勇気が安倍首相にあるのか。 日中韓FTA交渉の行方に注目せよ(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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