□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月26日第214号 ■ ============================================================= 米国が尖閣諸島に関する日本の領有権を明確にしない理由 ============================================================== 尖閣諸島問題についての米国の立場はもはや皆が知っている。 「日本の施政権は認めるが領有権については中立的である」というものである。 そんな米国の立場についての歴史的背景についてあらたな知識を得たので紹介したい。 3月25日の朝日新聞「風」というコラムで立野純二アメリカ総局長が要旨次のように書いていた。 沖縄に帰属する島は海上保安庁によれば363ある。ところが1971年に日米間で交わされた沖縄返還の合意協定には島の名前はほとんど書かれておらず、その代わりに領域を示す経緯度の数字があるだけだ。 その経緯を当時、東京で返還交渉を担当した元国務省法務官のチャールズ・シュミッツさん(74)に聞くと紛争に巻き込まれまいと腐心した米国の周到さがあったという。 そもそも厳密には、沖縄は「返還」ではなく、米国の「権利放棄」であるという。つまり米国が施政権を放棄し、日本が再統治することを認めるが、その領域は新たに定めることなく、米海軍が終戦時に作った海域図に一切の手を加えないまま、それを転用することで、島々の領有権にかかわらないようにしたというのだ。 沖縄返還協定締結時の1971年には、すでに中国と台湾が尖閣諸島の領有権を主張していた。日本との板挟みになったシュミッツさんが苦肉の策として沖縄返還協定に書き込んだ文言が「米国はすべての権利と利益を日本のために(IN FAVOR OF JAPAN)放棄することを希望し・・・」というものだという。 そしてシュミッツさんは次のように語ったという。 「私たちも尖閣の地理や歴史を吟味したが、判断できなかった。沖縄を返すからといって、日本の尖閣をめぐる主張を支持するわけではない、と何度も(日本側に)念を押した。領有権は米国ではなく、国際司法裁判所が判断すべきものだ」、と。 ここまではっきりと米国の立場を述べたものはなかった。 しかも当時の米国の交渉担当者の言葉だ。 この米国の立場が変わるはずはない。 その米国の立場を外務省が知らないはずはない。 知りたくないことは、知らないと決め込んでいるのだ。 いや、ひょっとしたら不勉強な今の外務官僚は、この朝日新聞の記事の中で語られている当時の米国担当官の話を知らないのかもしれない。 日本が米国に翻弄されるのは無理もない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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