□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月24日第210号 ■ ============================================================= 現実を直視しようとしない一人相撲外交とそれを許すメディア ============================================================== 動き出したばかりの習近平体制の中国が最初の公式訪問先としてロシアを選んだ。 そして共同声明では米国のミサイル防衛計画を牽制し、習近平主席はモスクワ国立大学で講演し、戦勝国として中露で戦後秩序を守ると公言した。 これは、尖閣問題を抱えて中国首脳との対話が出来ない安倍政権にとって、そして北方領土問題打開に向けて4月に訪露しようとする安倍首相にとって、先手を打たれた衝撃的な中国外交だ。 安倍首相ならずともしゃらくさいと思う国民は多いだろう。 しかし非難さるべきは中国外交ではない。 そんな中国外交に負け続けの日本外交の無能さである。 習近平主席の訪露の衝撃を否定するかのように、きょう3月24日の産経は、日米同盟の立場から中露共闘に楔を打てと書く。 朝日までも、中国とロシアは「同床異夢」だから心配ないなどと書く。 そんな事を書く前にメディアが真っ先に行うべきは、国際情勢の現実を直視し、日米同盟一辺倒の一人相撲の日本外交を戒めることだ。 ワシントン共同が伝えている。 米国主催の世界最大の海上軍事演習である環太平洋合同演習(リムパック)に中国軍が初めて招待されたと。 26日から日本を訪問するインドのサルマン・クルシード外相が日本記者を前に語ったと言う。 日本が唱える日・米・印・豪による戦略的協力構想を批判し、「インドは中国を念頭にした多国間関係は築かない」と中国包囲網に否定的な考えを示したと(3月22日毎日)。 極めつけはきょう3月24日の日経新聞だ。 知日派の王毅元中国駐日大使が外相になった時、我が国ではこれは日中関係改善のメッセージだ、いや知日派であるからこそ日本に対して厳しい態度を取らざるをえない、などと一人相撲の評価がメディアで飛び交った。 その王毅外相は現実にはどう動いているのか。 日経新聞のその記事はこう書いている。 王毅外相は16日の就任以降、すでにケリー米国務長官はじめ韓国や、独仏両国の外相らと相次いで電話で協議したが、岸田外相には電話をかけなかった・・・ かかってこなければ岸田外相のほうから祝いの電話をなぜかけないのか。 その岸田外相はきょう24日の朝のNHK政治討論番組に出演し、御用解説委員と御用学者を相手に、日本の対中外交を語っていた。 国際政治の現実から遊離した一人相撲の日本の姿がそこにあった(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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