□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月23日第207号 ■ ============================================================== 政府を挙げて取り組まざるを得ないTPP交渉の消耗さ加減 ============================================================== 私は3月16日のメルマガ第187号で書いた。 日本が苦労するのはこれからだ。TPP交渉がはじまってからだ。その対応で日本政府は消耗させられていくだろうと。 その通りのことが目の前で繰り広げられている。 安倍首相は22日に関係閣僚会議を開き、その下に朋友の甘利明経済財政・再生担当大臣を本部長とする対策本部を設置した。 そしてその下に二つの各省横断的な官僚チームを作るという。 すなわち一つは外務省の鶴岡公二外務審議官を主席交渉官とする対外交渉チームであり、二つは佐々木豊成官房副長官補(財務官僚)を国内統括官とする国内調整チームである。 そこには総勢100名に上る各省のエース級官僚をそろえるという(3月23日日経)。 おまけに米国にならって交渉チームには民間からの人材も導入するという。 文字通り排水の陣だ。 来たるべきTPP交渉の難しさに震え上がっているかのようだ。 国益を損なわないと大見得を切って参加表明した以上、国民の前で頑張らなければならないという焦りのあらわれのごとくだ。 ここまでの大掛かり体制を組んで交渉をするのは前代未聞と言っていいだろう。 しかもその交渉の中心は事前協議と称する対米協議である。 問題は、それで国益を実現できるかという事である。 出来る筈はない。 なぜならばこれから始まる対米協議は防戦一方であり日本が積極的に国益を実現するという性格のものではないからだ。 いかにして米国の理不尽な要求をかわすかで精いっぱいの交渉であるからだ。 それでも理不尽な要求を突っぱねる事が出来ればまだいい。 しかし、これまでの対米交渉を考えると最後はすべて譲歩させられて終わる事は必至だ。 私はそんな交渉をせざるを得ない安倍政権や官僚たちにざまみろと悪態をついているのではない。 残念だ、気の毒だと言っているのだ。 日本が抱えているもっと重要で、もっと緊急を要する仕事はほかに山ほどある。 政・官の優秀な人材を投入するのはそういう仕事のはずだ。 それにも拘わらずTPPに人材とエネルギーをここまで投入せざるを得ない。 これでは日本は消耗させられるはずだと言っているのである。 TPP交渉参加の決断はやはり大きな間違いであったという事である(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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