□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月21日第200号 ■ ============================================================== 隠され続ける「主権回復の日」を祝えない本当の理由 ============================================================== 「主権回復の日」が、決して祝福だけの日ではない事は、野田毅議員の証言で明らかになった。 ところがその野田議員でさえ、歴史を見つめなおす厳粛な日だとは言っても、祝えない本当の理由を明言しない。 祝えない理由のひとつにきまって使われるのが、沖縄の怒りだ。 野田毅氏もインタビューの中でそう言っている。 すなわちサンフランシスコ講和条約によって沖縄は米国の施政下に置かれた。その沖縄切り捨ての日を「主権回復の日」として祝うのは何事かという怒りである。 沖縄が怒り、沖縄がそう主張するのはわかる。 しかし沖縄を切り捨ててきた日本政府がそれを繰り返し、そして「主権回復の日」は祝えないというのは悪い冗談だ。 その悪い冗談を野田毅氏も繰り返している。 そしてきょう21日の朝日新聞がその社説で同じ事を書いていた。 すなわち「主権回復の日 歴史の光と影に学ぶ」と題する朝日の社説は、4月28日は沖縄を切り捨て、その犠牲の上に本土の繁栄が築かれた「屈辱の日」でもあるという。 そして屈辱を味わった人は他にもいる。すなわち日本政府はサンフランシスコ講和条約発効を機に、一片の法務府(法務省)通達により、旧植民地出身者の国籍を喪失させたという。 そう指摘して歴史の影の部分にこそ目を向け、その先に国の未来がある、と締めくくる。 その事自体に私は異論はない。 沖縄や旧植民地の人々の気持ちに思いを致すのは正しい。 しかし、4・28が祝えないもっと大きな理由は、日米安保体制によって日本全体が米軍による占領状態に置かれてきたことではないのか。 それどころか「日米同盟の深化」によって日本本土の沖縄化が進んでいる。 この事に野田毅氏も朝日の社説も一切触れない。 日米同盟を最優先する野田氏や朝日新聞のごまかしがここにある。 実は、私は朝日新聞ばかりを非難するがメディアはすべてそうだ。 あの東京新聞でさえ沖縄の事は書くが、日本全体が米国の占領状況下にあることには触れない。 どうやらこの国では日米同盟に疑義を挟むのは最大のタブーのようだ。 どんなに史実が明らかになっても、それを大きく取り上げない。 「日米地位協定入門」(創元社)は「主権回復の日」を考えるには国民必読の書であるのに、メディアで一切取り上げられない。 日米同盟に反対する言説は徹底して忌避され、排除される。 目に見えないその圧力は、巨大な岩盤の如くである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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