■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月14日第182号 ■ ============================================================== 無人機攻撃の非人道性に鈍感な日本 ============================================================== F-35戦闘機やオスプレイについては、大きな政治問題となって報じられてきたが無人機については我が国ではほとんど報じられることはない。 しかし「オバマ米政権の無人機使用は今や公然の秘密。しかしその実態はあまり知られていない」という書き出しで始まるニューズウィーク日本語版2月19日号の記事は衝撃的だ。 無人機攻撃は米憲法修正第5条(法に基づく適正な手続きなしに生命を奪われない)違反ではないかと米国内でも指摘されているという。 驚くべきは、誰を標的にするかにつてオバマ大統領が全権を握っていること、そして無人機による「標的殺害」計画を策定したのがオバマ政権の顧問であったジョン・ブレナン氏であり、そのブレナン氏をオバマ大統領は新CIAに指名したという事実である。 もっと驚くことは、オサマ・ビン・ラデンをはじめとしたアルカイダ上層部を一掃した後も、反政府武装勢力とみなせばオバマ政権はアフガン、パキスタン、イエメン、ソマリアなどで見境無く攻撃していることだ。 米国務省では、「男三人が並んで軍事訓練のような挙手、跳躍運動をすれば、すぐにCIAに殺される」、というジョークが流行っているという。 ついに国連は国際社会の批判におされて無人機攻撃の実態調査に乗り出すと発表した(1月26日各紙)。 そんな批判をよそに米国はアルジェリア事件後にはニジェールにテロ組織監視目的の無人機基地を設置する事を検討し始めたという(米紙ニューヨーク・タイムズ28日電子版)。 ニューズウィーク日本語版3月12日号は次のように書いている。 米国の大統領が権力を濫用しないように米国内で一つの提案がなされた。すなわちニクソン政権の盗聴事件の反省から35年前に生まれた「外国情報監視法」に基づき、特別法廷がその可否を審議するという提案だと。無人機使用という生死にかかわる判断において(司法が決定権を持つ)三権分立が機能する意味は大きい、と。 私が何故無人機について関心を持つかといえば、日本が無人機を米国から導入しようとしているからである。 すなわち2013年度の防衛予算案に米国製無人偵察機ブローバルホーク導入の調査費100万円がはじめて計上されたという報道があった(1月26日産経)。 はじめは小額の調査費をつけ、後に本格的な予算をつけて導入するというのがいつものやり方だ。このままでは必ず無人機は自衛隊が持つ事になる。 そんな無人機が憲法9条を持つ日本に必要かという議論はここではしない。 それ以前の問題として、この無人機導入についての非人道性について、日本では国会もメディアもまともに取り上げることはない。 米国でさえもその是非について真剣な議論がなされているのにである。 果たして来年度の予算審議が行なわれる国会では、無人機導入検討の調査費100万円の是非を問いただす議員が出てくるのだろうか。 私は無人機導入が国会で取り上げられるかどうかに注目する(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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