□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月9日第171号 ■ ============================================================== 憲法96条改正論議について一言書きとどめておきたい ============================================================== 憲法9条改正に必要な手続法であるいわゆる国民投票法が成立したのは自公政権下の2007年5月であった。そして3年後の2010年の5月に施行された。 今度は憲法96条の改正論議が急浮上しつつある。 おりから安倍自民党政権下で野党が壊滅状況にあり、今年7月の参院選で安倍自民党が勝利すれば憲法96条改正はいよいよ現実の問題となる。 そうなれば国民投票法の成立と相俟って改憲派が狙う憲法9条改正という本丸へのハードルが一気に低くなる。 私は、しかし、たとえそうなっても憲法9条の改正はそう簡単には達成できないと高をくくっている。 少なくくとも安倍首相の手では無理だ。 そして安倍政権が終われば改憲の動きは止まる。 憲法96条の議論を聞くたびに、私は常にある本の事を思い出す。 その本は憲法の設立経緯を語った「日本の憲法 国民主権の論点」という本だ。 講談社が2004年8月に発行した本である。 その本の22頁に、リチャード・プールというGHQ民生局の憲法起草担当者の一人の次のような言葉が引用されている。 「・・・彼(チャールズ・L・ケーディスGHQ民生局次長)はあまり親日的ではなかったからね。だから彼は日本人が新しい憲法を改正できないように、国会の四分の三以上の賛成票を改正の必要条件にしようと主張した。我々は、それではやり過ぎだと三分の二票を条件とした。この条件でも憲法改正はかなり困難なはずだけどね・・・」(22頁)。 私がこの言葉をここで紹介したのは、こんな押し付け憲法が諸悪の根源だなどとうそぶいて憲法破棄、改正を唱える者たちに塩を送っているのではない。 その逆である。 米国は、理想的な憲法を押し付け、おまけに二度と変えさせないようにしておきながら、冷戦が始まると180度立場を変えて日本をアジアの自由主義陣営の橋頭堡とした。 憲法9条の精神を否定しておきながら憲法9条をそのままにして矛盾を日本に押し付けた。 そんな身勝手な米国が、いまその憲法9条に苦しめられている。 憲法9条は戦争国家米国にとって、あたかもドラキュラに対するにんにくの様に天敵となって立ちふさがっているのだ。 我々は米国が押し付け、そして二度と改正させないように作った憲法96条を今こそ守らなければならないと思う。 憲法96条の三分の二票条項を捨て去り、質の低い国会議員の過半数で改憲できるようにする事はあまりにも愚かだ。 憲法9条は、どんどんときな臭くなりつつある国際情勢の中にあって、最もよく日本を守ってくれる最強の安全保障政策なのである。 戦争国家米国も、その米国と世界の軍事覇権を競うような中国も、憲法9条を掲げる日本が本気になって世界に平和を訴えるとき、それに反論は出来ない。 米国と一緒になって中国や北朝鮮と戦争も辞さないと主張する日本は、そのような日本の最強の武器を捨て去りただの国になろうとしているということだ。 ただの国に成り下がった日本に勝ち目は無い。 憲法9条があるからこそ日本は強いのである。 憲法9条は変えてはならない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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