□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月2日第156号 ■ ============================================================== 米国市民団体がTPP秘密交渉を告発した驚愕の報道内容 ============================================================== TPP交渉の最大の問題はその交渉内容が公表されないことである。 この事はTPP交渉の実態を知っている者にとっては広く知られている。 なぜ交渉内容が公表されないのか。 それはその内容が公表されればそれぞれの国民がみずからの利益を奪われる事を知って怒り出すからだ。交渉が中止に追い込まれかねないからだ。 そして不利益をこうむる危険性の最大のものは企業が国を相手取って訴訟を起こせるといういわゆる悪名高いISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)が盛り込まれているからだ。 そのようなTPP協定に加盟すると日本はとんでもない不利益をこうむる事に成る。 これがTPP反対論者の深刻な危惧なのである。 ところがこの危惧はTPPを言い出した米国の国民にとってもまったく当てはまる危惧であることを私は知った。 米国の市民団体が未公表のTPP協定の内容を入手し、それを全米で公開してオバマ政権の進めるTPP交渉は、1%の大企業が99%の国民生活を搾取するとんでもない協定だと告発していたのである。 この驚愕な米国のテレビ報道を紹介する以下のサイトが読者の一人から私のところに寄せられた。 それがすべてを物語っているから、関心ある読者はまずそれを見ていただきたい。 http://www.youtube.com/watch?v=HLVKAalmD48 私がこのメルマガで強調したいのは、このテレビ報道の内容もさることながら、日本のメディアがこの米国の報道内容をこれまで一切日本で報道してこなかった事だ。 このテレビ番組がいつ、どの局で放映されたかは分からないが、ロムニー氏の名前が出てくるところを見ると昨年の大統領選の前であると推測できる。 そしてこれは日本の交渉参加とはまったく無関係な報道だ。 つまり米国が他の交渉国と交渉をしている内容について告発しているのだ。 だから日本のメディアは無関心であるとするならば怠慢の極みだ。 オバマ政権のTPP構想は、すでに他の国との間でさえ大きな問題を抱えている。 それどころか米国民が自らの利益を失いかねないと反対している。 そしていまあらたに日本が交渉に参加しようとする時になって、議会が遅ればせながらTPP協定の内容に疑義を持ち、日本企業に対する警戒を強めかねないのだ。 オバマ政権は、議会や国内世論に迎合して、ますます日本に対して不当な要求をしてくるおそれがある。 TPPで米国が自国民や自国企業の利益を追求しようとすればするほど日本に対する要求を高めざるを得ない。 日本が譲歩しない限り米国議会が日本参加のボイコットを求めてくるかもしれない。 そうなのである。 安倍首相の訪米時に発出されたTPPに関する共同声明は、日米両政府が合意したものに過ぎず、日本が国内対策上その公表を迫ったおかげで、米国政府は今後議会や国民との関係で苦しい立場におかれるかもしれないのだ。 オバマ政権にとっては真っ先に米国民と米国議会に対してTPPの効用を納得させ、了解を取り付けなければならないのだ。 その結果、日本とのTPP交渉は米国議会によって白紙にされる可能性さえ残る。 それをおそれて安倍首相がオバマ政権に従属しようとすれば、ますます日本は不利益をこうむることになる。 いずれにしても日本がTPPを急ぐ必要は無い。 米国議会とオバマ大統領の駆け引きを眺めているだけで十分なのである。 それにしても米国で流されたこの告発報道が日本で一切取り上げられなかった事は不思議だ。 日本政府に都合の悪い情報はメディアは取り上げないということなのだろうか(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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