□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年2月16日第120号 ■ ============================================================== 発送電分離なら原発は持てなくなると白状した八木関西電力社長 ============================================================== 福島原発事故という未曾有の不幸の中であえて救いを見出すとすれば、この事故をきっかけにこの国のあらゆる矛盾が白日の下にさらされたことだ。 だから我々は福島原発事故の不幸をムダにしないためにもせめてその矛盾を一つずつ解決していかなくてはいけない。 その一つがこの国の電力行政の不条理である。 きょう2月16日の朝日新聞が報じていた。電気事業連合会の会長である八木誠関西電力社長が15日の記者会見で次のように述べたという。 電力会社から送配電分部門を切り離すなら原発は持てなくなると。 その意味するところは電力会社は送配電部門の利益がなくなれば、原発のように投資や維持費にお金がかかる施設を維持していくのが厳しくなるという意味だ。 政府が原発を維持したいと思うなら、送配電分離を急いでくれるなと言っているのである。 しか八木会長の本音は原発維持ができなくなるということではない。 送配電が完全実施されると電力会社そのものが成り立たなくなると言っているのだ。 送配電が分離されると電力自由化が一気に進む。 電力自由化が進めば再生エネルギーによる発電会社が次々と起業し始める。 消費者はよりやすく、より安定供給してくれる電力会社を求めて必死になる。 起業の中には自前の発電を持つものも出てくる。 個人消費者の中には、少しぐらい高くても原発からの電気は避ける者も出てくる。 要するに政府の保護の下で事業独占を謳歌していた電力会社は淘汰されていくのだ。 電力会社が軒並みに優良会社であることこそおかしかった。 そんな時代は今度の福島原発事故をきっかけに終わりにしなければならない。 繰り返して言う。発送電分離になれば原発を持てなくなるのではない。 電力会社そのものが淘汰されていくのである。 言い換えれば完全な送配電分離はそう簡単に実現されないということだ。 だからこそ我々は監視を怠ってはならない。 政・官と癒着したこの国の電力行政の見直しこそ、原発事故という犠牲と引きかえに実現されなければならない代償の一つである(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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