□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年2月17日第121号 ■ ============================================================== 「国家安全保障会議(日本版NSC)」創設のムダ ============================================================== 国家安全保障会議(日本版NSC)を創るための有識者会議(議長・安倍首相)が2月15日に初会合を開いたという。 有識者会議の顔ぶれを見てその保守・タカ派振りには驚かざるを得ないが、その事はここでは問わない。 私がここで指摘したい事は、この日本版NSCとやらが現在の内閣安全保障会議を改組して設置される見通しだということだ(2月16日読売)。 そして各紙はこぞって書いている。 この国家安全保障会議は省庁間の縦割りの弊害を克服し、我が国の外交・安全保障政策を統一的に行なう司令塔の役割を果たす目的で作られると。 政府の言う通りをそのまま書いている広報記事だ。 内閣安全保障会議の事務局の審議官として1988年から90年の二年間、佐々淳行内閣安全保障室長の下で仕事をした経験のある私は断言する。 日本の官僚組織を前提としてつくられる国家安全保障会議などというものが、米国NSCの如き機能を果たせることなどあり得ないと。 内閣安全保障室の失敗を再び繰り返す事になることは間違いないと。 内閣安全保障室は中曽根首相の強いリーダーシップの下で1986年につくられた。 関係各省を超えた統一的な機能を持つ組織として、外政審議官室、内政審議官室と並んで鳴り物入りでつくられた我が国の安全保障政策と危機管理の司令塔役だとはやし立てられた。 しかし、その実態は関係各省の利害がぶつかる権限争いの場であった。 すなわち首相の権限を借りて各省が勝手なマネをする事のないよう、各省がお目付け役として自らの職員を潜り込ませ、自らの省庁の利権を確保・反映させるための組織と化して終った。 いまその誤りを再び繰り返そうとしているのだ。 重要な事は組織作りではない。 正しい政策を企画・立案する能力と覚悟である。 それを持ち得る政治家と官僚を見つけることである(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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