□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年2月15日第114号 ■ ============================================================== オバマ一般教書演説のTPP言及を日本への圧力と報じる嘘 ============================================================== オバマ大統領が一般教書演説でTPPについて触れたという。 これを「一般教書演説にTPPの言葉が盛り込まれたのは初めてだ」などと大仰に解説する(2月14日朝日)。 しかしオバマ大統領がそこで述べたことは、成長するアジア市場へ米国からの輸出を増やし、米国内の雇用を守る、ということだ。 米経済へのメリットを強調し、米国議会と国民に向かって米国の国益を追求するという公約を述べているのだ。 ここまで言われて、それが日本へのTPP交渉参加への圧力だと一斉に報じる日本のメディアは一体どこの国のメディアなのか。 私が注目したのはオバマ大統領が(TPP交渉を)妥結すると述べていたところだ。 TPP交渉参加問題に関心を持ってフォローして来た者であれば知っているはずだ。 米国とTPP交渉参加国の間では例外を巡って意見対立が繰り返され、交渉妥結が遅れている事を。 このオバマ大統領の発言は、対立が残るシンガポールや豪州との間の交渉に決着をつけるという決意表明なのである。 さらにまたオバマ大統領は一般教書演説の中で欧州連合(EC)と自由貿易協定(FTA)交渉を開始すると言った。 この言葉を聞いた日本のメディアの中には、TPPと米欧FTAをあわせて米国を軸とする自由貿易協定(FTC)が広がりつつある、日本はそれに乗り遅れるなといわんばかりの記事を掲げているものもある。 しかし2月14日の日経新聞には米欧FTAは交渉の長期化必至と書いている。 すなわち米欧間には農業や政府調達で隔たりがあり交渉の妥結は容易ではないと書いている。 これを要するにTPPも米欧FTAも例外を巡って交渉難航が必至なのだ。 日本は決してTPP交渉の参加を焦る必要はない。 それどころか米国とシンガポールや豪州などのTPP交渉を成り行きを興味深く見守っていればいいのだ。 米国と欧州のFTA交渉のせめぎあいを眺めていればいいのだ。 見ているがいい。例外なき自由化などは出来っこない。 自由化交渉のバスに乗り遅れたら不利な条件を押し付けられるなどという事は何の根拠もないためにする議論だ。 TPPや米欧FTAが妥結して日本が不利な立場に置かれたらどうするかって? その時はWTOに訴えればいいのだ。 WTOの原則は最恵国待遇という無差別原則だ。 そのWTOは今も世界最大の自由貿易交渉の場として健在なのである。 TPP交渉参加問題で大騒ぎをしているのは対米従属の日本の政治家、官僚と、米国資本のために日本を解体しようとするジャパンハンドラーたちだけなのである(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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