□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年2月6日第99号 ■ ============================================================== 女子柔道選手のパワハラ告発に市民革命の萌芽を読み取るべきだ ============================================================== 選手の告発によって明るみになった柔道界のパワハラ問題は間違いなく五輪招致に悪影響を及ぼすだろう。 だからと言って責任者の辞任や懲罰を急いでこの問題に蓋をする事は、女子選手たちが立ち上がった行動を矮小化することになる。 女子選手15人の告発があぶりだした柔道界の暴力体質は、この国のあらゆる社会に共通する非民主的体質でもある。 その根本的解決なくしては柔道界は変われず、そしてまた日本は変われない。 弁護士が代読した女子選手の捨て身の声明文を読んで私は、大袈裟に言えばまたひとつ日本版「中東の春」の萌芽が見られたと思った。 そんな私の思いを見事に代弁してくれた記事をきょう2月6日の新聞に見つけた。 一つは東京新聞「本音のコラム」で述べられていた文芸評論家・斎藤美奈子さんの次の言葉だ。 すなわち下村文部科学相が「IOCの現地調査が入る来月までに信頼回復に努めよ」と指示したことや、猪瀬直樹東京都知事の「非常に不愉快だ」、「(五輪招致について)全体への影響はない」、という言葉を引用した上で次のように書いている。 「原発事故は収束しておらず、脱原発へのかじも切れていない。加えてこのパワハラ事件である。それでも安全だ、暴力は一掃する、で押し切るのは隠蔽以外の何物でもない・・・『影響が懸念』とはそもそも外づら重視の思想である。本気で選手を案じ、信頼回復を目指すなら内側の立て直しが先」だ、と書いている。 もう一つは「五輪招致とからめるな」と題する毎日新聞の社説である。 その社説は選手15人の声明文を読んで、大きな苦悩と恐怖を抱えながら決死の思いで立ち上がった選手たちの告発に胸を打たれたと前置きした上で、五輪招致のために、主役であるはずの選手の人権をないがしろにしているとしたら本末転倒であると断じている。 これはそのまま今の政治に投げかけられた言葉であると言えば大袈裟だろうか。 主役である国民の要望を何一つ実現できずに政権維持や党の生き残りに明け暮れるいまの政党や政治家たちは、参院選対策という外づらばかりを重視して国民が渇望する政策に有効な手を打とうとしないし、出来ない。 女子選手15人の声明文は大袈裟にいえば中東の春に通じる市民革命の萌芽である。 その動きは今後あらゆるところにあわられてくることを期待する。 女子柔道パワハラ問題も原発問題も沖縄問題も、若者の貧困問題も、問われている問題は共通している。 それは弱者が主役になる時が来ているのではないかということである。 権力に胡坐をかいている無能者は退場しなければならない時が来ているのではないかということである。 これまでの主従が逆転する必要があるということである。 それは取りも直さず革命にほかならない(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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