□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年2月4日第95号 ■ ============================================================== 普天間基地の県外移転を唱え出した朝日と毎日の社説 ============================================================== 安倍首相の沖縄訪問の記事を読んであらためて思う。 果たして安倍首相は沖縄問題でどのような解決策を打ち出すのだろうかと。 安倍首相の沖縄での発言はこれまでの歴代政府の発言と同じ事の繰り返しだ。 沖縄県民の負担軽減第一だといい、普天間基地の固定化はさせないという。沖縄の声を尊重し沖縄の理解を得て米国と合意していくという。 これまでの首相の言い方とまったく同じなのに、それでいて沖縄の理解が深まった、出だしは無難だ、仲井真沖縄県知事との信頼関係が深まった、などと報道される。 なんとなく沖縄問題が進みそうな気配が伝わってくる。 確かに自民党政権は復活した。 そして安倍自民党政権は圧勝し、野党は壊滅し、安倍支持率も上向きだ。 これほどの強力な政権になった今こそ沖縄問題を動かせないなら安倍首相は総理失格である。 おそらくそう米国から言われているに違いない。 果たして安倍首相はどのような解決策を目指すのか。 その答えを私はきのう2月3日の毎日新聞ときょう2月4日の朝日新聞の社説の中に見たような気がする。 すなわちそれは県外移転ということだ。 沖縄の米軍基地問題の解決は大別すると3つしかない。 一つはこれまでの日米合意である辺野古移転を強行することだ。 二つは国内のほかの場所に分散する県内移転だ。 そして三つは国外移転である。 このうち国外移転は日本から米軍基地を縮小・撤退させることにつながる。 それはすなわち日米同盟の破棄である。 日本側からこれを言い出す事はあり得ず、米国が今の時点でそれを言い出す事もまた可能性は薄い。 一つ目の辺野古移転の強行は日本政府がその気になれば出来る。 ましてや安倍自民党政権は今や官僚支配復活とあわせて最強となった。 官僚の論理でいけば、苦労して合意した辺野古移転を鳩山首相の一言で覆されたのだから、いまこそ安倍首相の手で日米合意を実施を取り戻してもらいたいと考えるのが当然だ。 しかしそうすれば沖縄県民の怒りに油を注ぐことになる。 安倍首相の政治的判断はそれを避けるだろう。 残された選択は国内の他の場所に分散移転するという県外移転しかないのだ。 それを毎日と朝日の社説が書いているのだ。 その時のキーワードは「沖縄の声に耳を傾けよ」(毎日)という言葉である。これ以上沖縄に負担を押し付けるのは無理だというわけだ。 その点をもっと直接的に語っているのが朝日だ。「差別」という言葉まで使って、これは単に政権の問題ではない、「ならばうちで引き受けようという地域が出てこない」現実を本土に住む私たち自身が直視しなければならない、と書いている。 それでも受け入れを反対する首長や住民は利己的だというわけだ。 そういう包囲網を徐々につくり出そうとしているように思える。 どこかで聞いたせりふだ。 そうだ。これは原発事故の苦しみを皆で分かち合おうと呼びかけるあの言葉と同じである。 その裏にはもちろん基地負担を引き受けてくれる地域に対するばら撒きがある。 これも原発受け入れを地方に迫る構図と同じだ。 カネ(予算)で問題を解決するというもっとも強権的で安易な官僚の論理である。 沖縄問題の本質は住民(国民)不在の日米同盟最優先政策であるのに、毎日や朝日の社説にはこの根本問題に言及する事は一切ない。 いっそ読売新聞や産経新聞のように日本の安全保障のためには日米同盟最優先は当たり前だろうと書けば分かりやすい。 それを避けて、国民に痛みを分かち合おうときれい事を呼びかける毎日や朝日は偽善であり悪質であると私は思う(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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