□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年2月4日第94号 ■ ============================================================== 報道が隠し続ける次期戦闘機F-35問題の「不都合な真実」 ============================================================== きょう2月4日の朝日新聞が一面トップで次期戦闘機F-35問題に関するスクープ記事を掲載した。 すなわち日本の部品が使われているF-35を米国がイスラエルに売却する事について、ついに安倍政権はこれを例外扱いとして認める方針を固めたという記事だ。 こういう結果になるだろうことは分かりきっていた。2月末の訪米の最大のお土産だからだ。 そうとはいえ、やはりこの方針が正式に決まるとなると大問題だ。 いくら護憲政党が弱体したからといっても、護憲政党は最後の矜持を示してもらいたい。 この問題は国会で堂々と追及してもらいたいと思う。 そしてその時こそ、1月29日の産経新聞が一面トップで大スクープした記事の深刻さが国民の前で明らかになる時だ。 このメルマガの本論に入る前に我が国の武器輸出三原則について簡単に振り返ってみたい。 武器輸出三原則がはじめて打ち出されたのは1967年の佐藤栄作首相の国会答弁だった。 その例外として1983年の中曽根首相の時に米国向けの武器技術供与を例外とする事が決まった。 さらに2005年の小泉政権の時に米国との弾道ミサイル防衛システムの共同開発・生産を三原則の対象外とすることが決まった。 そして野田民主党政権下の2011年にさらなる緩和が行なわれた。 すなわち、平和貢献・国際協力に伴う案件は防衛装備品の海外移転を可能とすること、そして目的外使用、第三国移転を行う場合は、日本への事前同意を義務付けること、などがそれである。 今度のイスラエルへの売却承認は、この「事前の日本の同意」を与えるという事にほかならない。 そう考えると、武器輸出三原則は、それが米国の圧力で骨抜きにされ続けてきた歴史であり、その放棄は対米従属の極みであった野田・藤村素人コンビで決まっていたのである。 しかし私がこのメルマガで強調したい事はその事ではない。 武器輸出三原則の放棄が国会で議論される過程で隠された「不都合な真実」こそ明らかにされなければならないという事である。 すなわち我が国で急速に進んでいる産軍複合体の実態こそ国民に知らされなければならない。 私は過去三度にわたってこのメルマガで「日本政府が欠陥F-35戦闘機の導入にこだわる謎が解けた!」と題して書いてきた(1月29日メルマガ第76号、1月30日第79号、2月1日第88号) なぜ日本の防衛仕様を満たさない欠陥戦闘機の導入にこれほどまでにこだわるのか。 カナダや豪州などが次々と導入を見送ったというのに(ちなみにイスラエルとサウジは導入予定らしいがその理由は簡単だ。イスラエルは米国の援助であり、サウジはオイルダラーをドブに捨てるように米国に貢いでいるからだ)。 その謎が解けた。F-35次期戦闘導入問題の本質は、未完生のF-35を日本に導入し、日本で更なる開発・生産を行なうだけでなく、そのメンテナンスの拠点になる、という事である。 それを教えてくれたのが1月29日の産経新聞の大スクープであった。 ところがこの産経のスクープを後追いした各紙の記事は、見事にこの「不都合な真実」を封印している。 F-35戦闘機は我が国の防衛基準を満たしていない欠陥戦闘機であるとか、武器輸出三原則違反の事ばかりしか書かない。 欠陥戦闘機であるのは当たり前だ。なぜならばこれから更に開発するからである。 武器輸出三原則違反どころの話ではない。 日本が米国の産軍複合体の拠点になるのである。 憲法9条を誇る日本がついにここまで来てしまったということである。 この「不都合な真実」を国民の目から隠し続けるメディアとは一体なんだろうかと思う(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新しいコメントを追加