□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年1月29日第75号 ■ ============================================================== 封印された安倍首相の過激論文 ============================================================== 1月26日の産経新聞「花田紀凱(かずよし)の週刊ウォッチング」の末尾に書かれている文章に私の目は釘付けになった。 そこには、その週に発行された週刊誌の様々な記事がいつものように論評されていたのだが、その最後は、次のような言葉で締めくくられている。 ・・・「アサヒ芸能」(1・31特大号)の「中国に宣戦布告した『安倍論文』過激すぎる挑発全容」はスクープだ・・・ 実は読者の一人からこの安倍論文が世界に発信されて注目されているのになぜか日本のメディアは取り上げない、私のメルマガで取り上げたらどうか、というメールを私は受け取っていた。 それを書こうとしていた矢先にこの花田氏の週刊誌評を見つけたのだ。 アサヒ芸能のその記事の要旨はおよそ次のごとくだ。 すなわちチェコに本部を置く国際言論NPO団体「プロジェクト・シンジケート」なるものがある。この団体は世界150カ国以上の新聞社、通信社と提携し世界的投資家ジョージ・ソロスやマイクロソフト会長のビル・ゲイツら世界の要人が寄稿者として名を連ねる格調高い機関である。 その機関紙に昨年12月27日付で安倍首相の「アジアの民主主義的安全保障ダイヤモンド」と題する英文の安倍論文が寄稿されていた。 ところがその内容たるやあまりにも過激なのだ。すなわち日本、インド、アセアン、豪州とつなぐダイヤモンドで中国を包囲し、中国の領海侵犯に対抗するというものだ。 これではまるで中国に喧嘩を売っているいるみたいなものだ。 一国の総理が世界に向けて訴えた論文がなぜか日本のメディアでは取り上げられていないのは、その内容が中国に対しあまりにも過激で好戦的のためなのかもしれない・・・ 以上がアサヒ芸能の記事の要旨である。 12月27日と言えば安倍政権が発足(12月26日)した直後だ。 中国は野田政権では交渉する余地がないとして安倍政権になって尖閣問題の交渉を期待していたことは明らかだ。 しかし、こんな攻撃的な論文を安倍首相は首相になったばかりの時点で世界に誇らしげに発信していたのだ。 中国はこれを見て安倍もまたダメだと思ったに違いない。 安倍政権になって仕切り直ししようと期待していたのに、これでは話にならない、安倍政権に対しても厳しい対応をせざるを得ない、そう中国が考えて態度を硬化させたとしても不思議ではない。 そう思えば中国の強硬な態度もわかるような気がする。 おまけに米国が棚上げ論を言い出しかねない状況になってきた。 オバマ大統領の新布陣の顔ぶれを見ているといずれ米国は言ってくるだろう。 これ以上中国、韓国との関係を悪化させるな、と。 「野田民主党政権で失われた日米の信頼関係を取り戻す」 これは安倍首相の決まり文句である。 しかし、実は米国は野田民主党政権よりも右翼的な安倍自民党政権では米国の国益には必ずしも役立たないと、最近に至って米国は急速に感じ始めているのではないか。 それを察知した外務官僚とメディアが、この安倍論文がこれ以上日本国民や海外へ広がらないように報道規制を敷いているのではないか。 今頃になってアサヒ芸能がこのような記事を書いて寝た子を覚ましたのだ。 外務省はあわてているに違いない。 2月の訪米は安倍首相にとって重視するどころか気の重い訪米になるだろう。 外務官僚主導の安倍外交の前途は危うい(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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