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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

浅井基文氏のテレビ朝日出演を心から喜ぶ 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年10月4日第743号 ■   ==============================================================    浅井基文氏のテレビ朝日出演を心から喜ぶ   ============================================================== 孫崎享氏の活躍が目覚ましい。 「戦後史の正体」(創元社)を出版して、この国の戦後史の正体が対米 従属派と対米自立派のせめぎあいであったこと、そしてことごとく対米 従属派が政権を握り、対米自立派が権力によって潰されていった事を 喝破した。  最近は「アメリカに潰された政治家たち」(小学館)を出版しそれも ベストセラーであるという。  雑誌やメディアにも頻繁に登場するようになり、日本外交の対米従属を 激しく批判する言説を繰り返している。  すっかり私のお株を奪われてしまったかのようだ。  しかし私はそれを歓迎している。  彼のような政府の要職にいた官僚が、しかも防衛大学校の教授まで歴任 した我が国の外交・安保政策の第一人者が、正面から日本政府の対米従属 政策を批判するようになったことは心強い限りである。  そして浅井基文氏の朝日テレビへの登場である。  ここからがこのメルマガで私が書きたいことである。  今朝(10月4日)8時からのテレビ朝日のモーニングバードという 番組で浅井基文元外務省中国課長が登場していた事を私は偶然にもテレビ で観た。  尖閣問題に関連し、「領土問題はない」と言い続ける政府・外務官僚の 硬直性を批判し、返す刀で外務省という組織が対米従属でなければ人に 非ずというようになってしまったことを嘆いたのである。  彼こそが最初に対米従属外交を正面から批判した元祖反骨外交官なので ある。  外務省の入省年次でいえば私より6年先輩にあたる浅井氏はチャイナ スクールのエリート官僚だった。  その彼が中国課長を最後に外務省を突然辞したのは確か1988年ごろ だったと思う。  そしてその翌年に浅井氏は『日本の外交--反省と転換』(岩波書店) を世に問うた。  その本は外務省の対米従属政策を批判し、アジア重視の外交こそ 日本の取るべき道であると説いた本である。  その本を読んだとき、私は初めて浅井氏が、あえて外務官僚として の約束された将来を捨てて、自らの信念を貫いた事を知った。  以来彼は対米従属外交論を繰り返している。  私が彼の考えに共鳴し、影響を受けたことは言うまでもない。  その彼に私はかつて面談を求めた事があった。  そして改めて外務省の政策を批判する事によってこうむる試練の厳しさ を知った。  「僕と会っているところを人に見られると君の為にならない」といって 面会場所を新宿のとある喫茶店に指定した彼は、その時私に語ったものだ。  外務省を批判するような言動活動をするなら組織をあげてつぶしにかかる と事務次官から引導を渡された事を。  それまで部下であった青二才の官僚たちが、外務省に近づくなら石を ぶつけて追い払ってやるなどと冗談交じりに話していた事を。  それを聞いた私は外務省という組織に未来はないと感じたものだ。  それから十数年たって、私が対米従属外交を批判する外務官僚OBの 第二号となったわけだ。  そしていま孫崎享氏の登場である。  彼は私より3年先輩のロシアスクールである。  奇しくも3年の違いでチャイナスクール、ロシアスクール、米国スクール の外務官僚OBが外務省の対米従属外交を批判するようになったわけだ。  その元祖対米従属反対派の浅井氏がついにテレビ朝日の番組に出演する ようになったのだ。  私はそれを心から嬉しく思う。  孫崎氏と浅井氏の大きな違いは日米同盟から自立した後にどのように して日本を守るかという防衛政策の違いにある。  孫崎氏が自主防衛論者であると言うのではない。  しかし彼は自主防衛論者の鳩山一郎やその孫の鳩山由紀夫元首相のブレー ンである。  「戦後史の正体」の中には、対米自立をした後の我が国の国防政策について は語ることはない。  孫崎氏にくらべれば浅井氏は徹底した平和論者であり護憲論者である。  私はそのような浅井氏の考え方に強く共鳴するのである。  浅井氏が今後もどんどんとテレビで活躍するようになることを願っている。  そして浅井、天木、孫崎に続く第4、第5の外務官僚がこれからも続出し、 日本があきらめかけていた「日本外交の転換」の流れが大きくなっていくよう 私は期待するのである。                  了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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