□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年10月2日第736号 ■ ============================================================== 前原氏を徹底して排除する野田首相 ============================================================== どのメディアもはっきりとは書いていないが、私が今度の改造人事で 最も注目したのは前原誠司氏の処遇である。 前評判では財務大臣などの主要閣僚として入閣すると言われていた。 ところが蓋をあけてみれば前原氏に与えられたのは国家戦略担当大臣 だった。 確かに国家戦略担当の名前は重要に聞こえる。 実際のところ国家戦略担当大臣は民主党政権ができた時の目玉であり 菅直人氏や仙谷由人氏なども歴任した要職だ。 政策通である前原氏には適役のように映る。 ところが実際はまったく異なるどうでもいいポストなのだ。 この国を支配しているのは官僚である。 その官僚が本気で仕事をするのは官僚が所属する関係官庁のためである。 だからその官僚組織を従える各省庁の上に立つ大臣こそ権限があるのだ。 それがたとえ、田中真紀子氏が担当する三流官庁の文部科学省であって もだ。 ところが国家戦略相には所属する省庁がない。手足になって使える 官僚組織という部下がいない。 サラリーマン経験者なら容易にわかるだろうが、部下のいない要職ほど 空しいものはない。 ラインから外れたスタッフの悲哀である。名ばかり管理職のつらさだ。 政調会長の時と同じように国家戦略担当大臣はその名の通り野田政権の あらゆる政策に口を挟める立場にある。 さっそく前原氏は勝手な発言を始めた。 しかし彼がどのような発言をしようとも、実際の政策を決めるのは担当 省庁の官僚であり、その官僚組織の上に立つ大臣である。 そしてその大臣が野田首相とこの国の政策を決めるのである。 これを要するに前原大臣は政調会長の時と同じように好き勝手な事は 言えてもそれを実現する権限が与えられていないということだ。 言うだけ番長にはふさわしいかもしれないが、それゆえに放言を繰り 返し災いを引き起こすという損な役回りをさせられるのだ。 それにしても野田首相はああ見えても非情で残酷だ。執念深い。 かつて小沢一郎が野田首相の事をなかなかの者だと評したのはその手 ごわさと執念深さを見抜いていたからだ。 前原誠司氏はポスト菅を決める民主党代表選挙で、いったんは野田氏を 支えると言いながら、野田氏の国民的人気が低いと見るや突如として代表 選に名乗りを上げた。 これは野田氏に対するこの上ない背信行為だった。 この時の怒りを野田氏は永遠に忘れない。 しかも前原氏は政調会長となった後も野田政権の政策を真っ向から 否定するような発言を繰り返して野田首相の足を引っ張り続けた。 今度の人事はまさしくそのような前原氏を許さないという野田首相の 意思表示なのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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