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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

一瞬にして消えた日中国交正常化40年の歴史とキッシンジャーの笑い
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年9月24日第714号 ■   ==============================================================   一瞬にして消えた日中国交正常化40年の歴史とキッシンジャーの笑い  ==============================================================  日中国交正常化40周年の記念式典が直前になって中止された事が 大きなニュースになっている。  因みに私はきょうの新聞で認識をあらたにしたのだが、この記念式典 は公式記念式典とは言いながら日中両国の政府が主催する記念式典では なく両国の友好協会による記念式典であるという。  日本側出席者も日中友好協会会長である加藤紘一氏やあの鳩山由紀夫 元首相らが出席予定であったという。  なぜ両政府が記念式典を行なわなかったのだろうか。  それはともかくとして、私がきょうの各紙の記事の中で一番注目した のは日経新聞の「きょうの言葉 日中国交正常化」と題する小さなコラム であった。  そこには4つの政治文書が、日中国交正常化の40年の歴史の基礎を 作ったと次のように列挙されていた。  1972年 田中角栄首相が訪中し日中共同声明を発表し国交正常化        実現  1978年 日中平和友好条約を締結。すべての紛争の平和的解決を        確認  1998年 江沢民主席が来日し日中共同宣言を発表し、毎年どちらか        一方の指導者が相手国を訪問することを確認  2008年 鼓錦涛主席が来日し日中共同声明を発表して戦略的互恵        関係を推進することを確認。  これら4つの政治文書の間にも、1978年には鄧小平副主席が来日し 記者会見で尖閣諸島棚上げを提起し、1979年には大平首相が訪中し 日本の対中援助を約束した(筆者註:当時担当官の一人として随行した 私は、中国に援助をしていいのか。今に経済発展して日本を凌ぐ存在に なるがそれでいいのかなどという議論が真剣に行なわれていたことを思い だす)。また1992年には今上天皇の初訪中という歴史的行事があった。  要するに我が国の一大戦後外交であった対中外交の積み重ねと先輩要人 たちの苦労が、今度の尖閣問題で一瞬にして崩れ去ったということだ。  その責任が誰にあるかなどという事を言いたいのではない。  その責任を日本側だけに押しつけるつもりはない。当然中国側の指導者の 責任も問わなければならない。  私がここで言いたいのは、日中国交正常化のこれまでの努力が、突然起き たたかが尖閣諸島国有化一つで、ここまで水泡に帰してしまう、このもろさ、 むなしさは一体何なんだだという事である。  一つだけはっきりしていることは米国のキッシンジャーがほくそ笑んで いるだろうということだ。  キッシンジャーは日本の頭越にニクソン米大統領の電撃訪中を仕掛けて 日本を驚かせた(1972年2月)。  しかし田中首相が同年9月に北京に飛び中国との国交正常化を米国より 先に実現した。  これに激怒したキッシンジャーは田中首相を口を極めて罵倒した。  いまや当時の関係者のほとんどはこの世を去ったがキッシンジャーはまだ 生きてる。  国交正常化から40年たったいまの日中関係を見てさぞかしキッシンジャー は溜飲を下げていることだろう。  安倍晋三をはじめとした自民党総裁選候補者たちは、そろって日米同盟が しっかりしていたらこんな事はなかったと繰り返す。  自分たちが政権をとったら日米同盟の信頼回復を取り戻して中国に対抗する と気勢をあげる。  米国の事を何も理解していない度し難いピントはずれだ。  民主党は終わった。  しかし自民党もまたどうしようもない連中の集まりだということである。                               了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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