□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月4日第430号 ■ ============================================================== イスラム武装勢力から爆破予告を受けた日本大使館の衝撃 ============================================================== きょう(6月4日)の各紙の報道の中で私が一番注目したのは東京新聞 が一段の小さな記事で伝えるパキスタン発共同通信の記事だ。 在パキスタン日本大使館が爆破予告電話を受けたという。 「72時間以内に業務をやめ、館員を全員立ち退かせなければ大使館を 爆破する」と脅迫する電話が男の声かかかって来たという。 この男がイスラム武装勢力の一人であるかどうかはもちろんわからない。 しかし、パキスタンではイスラム武装勢力掃討のため米国による無人機 の爆撃が繰り返されて来た。 その攻撃で子供を含む多くの無辜の市民が犠牲になってきた。 しかし米国はそれを無視して爆撃を続け、エスカレートさえしている。 そんな米国に対する反感は米国とパキスタンの関係を危うくするところ まで悪化している。 そんな米国に一貫して協力的であり続ける日本に対し、反感が起きても おかしくはない。 実際のところ日本大使館関係者らは、その男が「(日本大使館が)われ われの仲間を虐げた」と語った事を認めている。 ブッシュ大統領がイラク攻撃を行なった2003年3月、小泉首相は いち早く世界に向けて、「ブッシュの戦争」を支持すると発表した。 あの時レバノンの日本大使である私のところにもいくつかの抗議が寄せ られた。 しかしそれらはいずれも抗議というより、何故だというものだった。 どうしてアラブの気持ちがわからないのか、残念だというものだった。 決して日本を敵視するようなものではなく、アラブの友人と思っていた 日本に裏切られたという悲しみの声だった。 それから10年近くたって、米国のパレスチナ政策はますます不正義に なり、アラブの反米感情は高まっている。 そして「テロとの戦い」に対する日本の対米従属政策は世界に知られる ようになった。 そのような中で起きた今度の爆破予告電話だ。 しかもそれがいまやイスラム国の中でももっとも反米感情の強いパキス タンで起きた。 東京新聞がいみじくも書いているように、日本大使館がこのような脅迫 電話を受けることは極めて珍しい。 珍しいどころかイスラム武装勢力からこのような表現で撤退を求められ たのは初めてではないか。 もちろんこの脅迫電話がどこまで本気であるのかはわからないし、実際 のところ何もなく終わってしまう可能性が高い。 しかし日本大使館関係者は「思い当たる節はまったくない」などと とぼけるのではなく、自らの対米従属政策が本当に正しかったのか、 この機会に改めて考え直すべきだ。 パキスタン情勢を甘く見てはいけない。 真剣に外交を行なわなければいけない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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