□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月4日第429号 ■ ============================================================== 首相経験者から学べと書いた読売津田歩政治部次長の見識のなさ ============================================================== いくら野田首相を応援するからといっても、こんな書き方はないだろう と思わせる記事を見つけたので紹介したい。 きのう(6月3日)の読売新聞で、津田歩という政治部次長が「政なび」 という論説の中で書いていた。 「首相経験者の陰徳」という見出しのその論説の要旨はこうだ。 すなわち中曽根、森、鳩山、菅という4名の首相経験者を引き合いに 出して次のように書いている。 中曽根、森という首相経験者は国益を見据えて陰徳を積んでいるので、 民主党の馬淵元国土交通相や野田首相が助言を求めて来た時、彼らに 「宰相学」を授けることができる。それに比べ09年の政権交代後に誕生 した鳩山、菅という二人の首相はどうにもならない。鳩山氏は普天間問題 で迷走し、菅氏は原発問題で無責任な対応をした。それなのに鳩山氏は 沖縄復帰40周年記念日に沖縄に行って性懲りもなく県外移転を口にし、 菅氏は国会事故調査委員会で反省のない自己弁護を繰り返した。中曽根、 森両氏に共通するのは、国益を見据えて陰徳を積む姿であり、鳩山、菅 両氏に共通するのは、国民の歓心を買おうとするポピュリズム的な行動と、 それが批判された時の自己正当化だ。 野田首相は自民党政権下の二人の首相経験者から首相としてのたたずまい を学んでもらいたい・・・ いくら読売新聞が自民党の御用新聞であるからといって、ここまで 自民党首相経験者を褒め上げ、民主党首相経験者を悪く言うのは明らか に偏向だ。 しかし、それだけなら私は驚かないし、このメルマガで取り上げる気も 起こらなかった。 私がこのメルマガで読者に知らせたかったのは、その記事の中で見つけ た次のようなくだりである。 すなわち野田首相は5月のサミット出席の際に予定されていたプーチン ロシア大統領との首脳会談に備えるために森元首相を訪ねたという。 その時の模様を次のように書いているのだ。 ・・・日露首脳会談を前に、野田首相側から「最初に何を言ったらいいか」 と尋ねられた森氏は「『ここに畳があればよかったですね』と話かけたら」 と答えた。ともに柔道の経験がある野田首相とプーチン大統領を念頭において の助言だ。結局プーチン大統領がサミットに出席しなかったので森氏の助言 は実らなかったが、それでも野田首相はプーチン大統領と親しい森氏を ロシアに派遣したい意向を示すなど、森氏に信頼を寄せている・・・ 驚いた。柔道のたとえ話をしてみたらと助言するしか知恵のない森元首相を 読売の津田歩政治部次長は「陰徳のある首相経験者」であるというのだ。 もっと驚いたことは、そのような森氏を対露外交の達人だと思い込んで、 助言を求め、対露外交に使おうとする野田首相の外交知見のなさである。 こんなことでは北方領土問題の解決など期待するほうが無理だ。 こんな首相に首相の座を握られて諸費税増税や原発再稼動を行なわれては たまらないということである。 了 ─────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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