□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月2日第424号 ■ ============================================================== 復興予算の使われ方ひとつ見ても政府の無駄遣いがわかる ============================================================== これまで一体どれほどの税金が復興予算に使われたことだろう。 その予算はどれほど被災民の救済に役立っているのだろう。 第二次復興予算の分配を終えた平野復興大臣は、今度は査定庁の汚名を 挽回したとばかり、大盤振る舞いをしたと胸を張った。 予算を沢山配ればいいと言うものではないだろう。 それが住民の生活向上に直結しなければやはり税金の無駄遣いだ。 それをつくづく考えさせられる記事を6月1日の東京新聞は一面トップ で掲げていた。 その記事は、政府や自治体が巨額な除染予算を大手ゼネコンに丸投げ しているという記事だ。 そもそも除染をしたからといって放射線被曝から免れるのか。 引き剥がした土はどこに捨て去るのか。 そういう根本的疑問はここでは問わない。 避難せずに住み続けなければならないとしたら、除染は国の責任で正しく 行なわれるべきだ。 年間1ミリシーベルトを超える地域の除染費用は国が負担するという。 2012年度当初予算だけで約3720億円もの巨額な予算が除染だけで 計上されている。 そしてその予算はこれからも末永く継続されていく。 ならばこそ、その予算は住民に役立つように効果的に使われなければ ならないのだ。 東京新聞は書いている。 受注先のほとんどすべてが大手ゼネコンで占められていると。 入札選定は適切に行なわれていたのか。 たとえそうだとしても除染経費の見積もりは正しく積算されているのか。 端数のない発注金額はあまりにも巨額すぎる、と。 東京新聞はそれ以上の追及はしていない。 自治体の担当職員によれば、なにしろ、とてつもなく巨大な事業だから 大手ゼネコンの動員力に頼らざるを得ないということらしい。 市も地元業者も、今までやったことのない規模の事業だから、細分化 して地元業者に発注すると、手続きが煩瑣になり、パンクしてしまう、 という。 その一方で、ゼネコン幹部の次のような言葉を掲載している。 「除染はノウハウが確立されておらず、人海戦術で人件費がかかるので おいしい仕事ではない」、と。 もしそうであれば 除染作業はすべて地元業者が地元住民全員を交替で 臨時雇用する形で行ない、除染予算のすべてが汚染地域で使われるように すればいいのではないか。 住民は自分たちの住む場所の除染だから熱意を持って一生懸命行なうに 違いない。 除染作業をみずから行い、予算の配分を受ける。一石二鳥である。 予算が無駄(部外者の利益)に使われる余地はまるでない。 これこそが被災住民に対するもっとも効果的な予算の使い方ではない のか。 住民はみな大喜びではないか。 そういう事を提案し、国にそれを認めさせるような首長がいなかったの だろうか。 いや今からでも遅くない。そういう首長があらわれてこないものか。 東京新聞のこの記事が言いたいのはそういうことではないのか。 「増税する前に行なうことはある」とは皆が言うセリフだ。 しかし、それは何もいわゆる天下りや官僚の無駄遣いに消えていく、 いわゆるシロアリ退治だけを指すのではない。 予算の執行権の一部を国民、住民に委ねることである。 予算の多くが大企業の利益にまわされ、本当に必要な地域経済、地域住民 活動に回らないところに予算執行の本当のムダがあるのだ。 予算の使い方を官僚支配から解き放つ事こそ、究極の財政改革なのである。 官僚が最も抵抗する事である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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